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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
今日もいっぱい
2012年07月09日
今日は、午後から京都の草木染の染工場さんが起こしになられました。今進行中の案件のほかに、新規に何か取り組みができないものかと考えてはおります。自分の頭の中には作りたいもののイメージがあるので、それが技術的に実現が可能なのかどうかというところをいろいろと聞いてみたりしました。

草木染というのは色味が限られてしまうところがあって、私の頭にあるブルーの色を作りたいに関しては藍染を使わないと難しいようで、グリンというのも藍との掛け合わせ出ないと難しいということ、また強い赤を出すためにはコチニールあるいはログウッドが必要ということで、どうやって自分の思うところの色を草木染で表現するべきなのだろうかと迷うところです。

色の強弱そのものが自然の色の強弱であり、自然の中にはすべてがないということ、また、色によってその入手で気安さが異なるのは、天然繊維の種類ごとに価格がまちまちなのと似ています。たとえば、コンピュータの画面ではほぼ無限の色が手に入りますが、逆にその色には価値がないのと似ています。

草木染とは違いますが、インクジェットプリントなども布にプリントする話を検討するときにいつもインクの高さに驚かされるもので、そこまで高くなっても色を忠実に再現したいという欲望というものは、あきらめてはいけないことの一つなのかもしれません。昔はきっと使うことのできるきれいな色を組み合わせることで、数色の色使いながらも感じの良い色柄というものを生み出していったのが染の世界です。それは、色数が限られる先染織物と似ているかも知れませんし、目を広げれば、100手から200手ほどで常に決まる将棋の世界と似ているかもしれません。

夕方には、海外向けの運送業者さんが起こしになられ、海外向けの荷物を輸送することに関していろいろとお話をいたしました。自分の作りたい布を作ったときに、それは国内のブランドさんがピックアップくださるかもしれないし、海外のブランドさんがピックアップくださるチャンスもあるので、サンプルなどでも手元に届いて確認をしてもらいやすい方法が必要だと思います。発送部分なんて別に後から考えればよいんじゃあないかと思われるかもしれませんが、発送自体も不透明な要素が多い海外の取引では発送のことを煮詰めておくことも非常に重要な仕事の要素だったりします。

夜には、バタバタと出荷を行いました。ナチュラルな仕上げのものなので、巻き上げるだけでも一苦労ですが、それがこの布の表情があって良いところなんじゃあないかと思います。海外からメールが届いてリネン150番手が発送されるとのこと、頼んでからも半年以上待って手に入れることができる糸、本当に楽しみです。一生のうちの何十分の1かを待っても手に入れてものづくりしたい、そんな無駄とも思えることがものをつくる側の世界にあっても良いものです。