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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
先染
2009年11月03日
リネン関連ではまだ少ないのですが、テキスタイルの業界では先染めが人気の傾向があります。先染は2年ほど前の秋冬あたりからブームの兆しだといわれていましたが、無地ライクに見えるギンガムなどが中心でした。最近、マドラスチェックやタータンチェックなどの文様が本格的な人気になってきています。

もう20年以上前になりますが、チェッカーズが一世を風靡した頃は、どこを向いてもチェック柄という時代もありました。タータンやマドラスの柄を配したものというのは、つぶしが利くと言われます。といいますのも、後染や単純なギンガムなどと比べると作るのが大変だということがあるからです。デザインが大変であって、そのデザインに応じた小ロットの染が必要になってくるのです。

チェック柄というのはデザイン性が重視されますので、先染の無地などに比べると、染めの品質としてはそれほど高度なものは要求されませんが、先染でブラックウォッチなんか作っても、本当に色の濃いものを作るのは難しかったりして、売り場に普通にあるのは白っぽい感じがしたりするものが多いです。これは、糸が一様に染まっていなかったり、また、中までしっかりと染まっていないという問題があります。

チーズ染とかせ染では、かせ染のほうが一様に奇麗に染まるのですが、リネンやラミーの場合、かせ染ででも色むらの問題は起こります。ましてや、チーズ染色では、内外差は付き物だといわれ、織でそれを吸収することが要求されています。チーズ染で無地を作ると斑々感を消し去ることは難しいです。

この問題とは別の問題で、ノットレスといわれるスプライサーヤーンといわれる紡績時の結び目が少ない糸があるのですが、これも、糸の染めに関しては大きな問題を含んでいます。ローブのつなぎ目を貼り付けるために調子が悪いと、そこが2倍くらいになるだけでなく、その部分が染まりにくいという問題が生じてきます。生地になると糸が太くて色が薄い部分が出来るのです。

ほかの色斑の問題としましては、ワラの問題です。ラミーに良く観られるのですが、黄色いワラがところどころに入っています。これは白だと黄色いワラがそのまま織物に出てしまって、大きな問題となります。薄い色だとそのワラが逆に濃く染まってみえるという状態になり、これも大きな問題です。リネンの問題で多いのは中が奇麗に染まっていないという問題です。リネンの糸をほどくと白い部分が出てきます。最近は、とくに濃色でこの問題が多く起こるようになっています。通常は、織り上がると無視できるレベルのものですが、染めの本質的な問題につながっており常に注意はしています。