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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
チーズワインダー
2012年08月10日
今日は、チーズワインダーの修理を行いました。倉庫に20錘のチーズワインダーの同じタイプがあったので、そのローラー部分を取り外して工場まで持ってきて交換しようとしましたが、右と左が反対のタイプです。軸とローラーは共通の部品ですが、すべてのパーツの位置を調整しないとならないので、結局、両方のローラーを全部ばらして、一つの20錘綺麗なローラーを作ってそれをセットします。1台がゴミになってしまうのは残念なこと。

本来、チーズワインダーも何十年も大事に使うものなのですが、木管を付けないでスイッチを押したりすると1回で、ローラーに大きな傷がついてしまいまって終わりです。今回はそんな失敗で出来たキズのついたローラーを交換する作業で、この交換作業も非常に時間と手間は掛かるだけでなく、交換してもまた同じ結果になるのを恐れ、ようやく時期が来たと判断をして交換作業をしました。細い糸をチーズに小分けするときには、わずかなローラーのキズが命取りになるので、部分整経のための糸の小割は一番簡単な作業の一つではありますが、軽い気持ちで作業をすると30年大事に使ってきた機械が一回の作業で使えなくなってしまいます。

チーズワインダーのローラーの一つ一つが制度の高い鋳物で、取り外してその一つ一つを眺めると機械部品の完成度の高さには感心します。一個のローラーですらもが30年以上昔でも5万円ほどはする部品で、何十年経っても光っているあたり、一つ一つのローラーが高級なお皿以上に芸術品です。今は、このチーズワインダーを作っていたメーカーも、整経機のメーカーも、織機のメーカーも、ドビーのメーカーも事実上なくなっています。30年、40年と使える機械をつくることは、一度しか売れないことにつながり、メーカーというものは存続していくことは難しいものだなあと思います。

日本で織物を続けることが難しい背景には、機械設備の保守部品ですらもが手に入れることが非常に難しく、古いタイプにしがみつくのかあるいは新しいものに常に買い換えていくのかで、新しいものに買い換えたところほど今の機械の本質というものが安っぽくなってしまっていますので長持ちすることはありません。今の時代というのは機械を大事に使える人というのは希少な存在で、そういう人でないとこの仕事というのは続かないものなのです。