2012年09月16日
ボーダーとストライプの柄とではどちらが織物として価値があるのかというと、ストライプです。ストライプの柄は縦糸を作って繋いで織って初めてできるのですが、ボーダーは無地の縦が機械に掛かっていれば、色数は限られるもののほとんど自由な柄イメージが比較的簡単に出来ます。
私自身は麻布に関しては、布は縦は縦として使うべきで、縦横使いはあまりよいとは考えません。といいますのも、通常の麻布の織物加工においては、生機というのは横に15%ほど縮む想定です。縦方向に関しては縮みはほとんどありません。あったとしても数パーセントです。
人が洋服を着るときに、横方向にストレッチ性があることは非常に大事です。横方向にストレッチ性がないと着ていて苦しいのです。縦方向のストレッチ性は有るとそれがすぐに戻らないとぽこんと膝や肘の部分が飛び出たりします。これが、高密度織物などでよく問題になるところです。縦方向のストレッチ性はないくらいで大丈夫なのです。
なぜ、高密度織物では縦にストレッチ性が出てしまうかというと、縦が織った状態ではアップアンドダウンしきることがないので、織物加工でさらに縮む傾向にあります。高密度織物では、横の加工時の収縮というものは少なく、幅広く仕上がる傾向にあります。横方向のストレッチ性は少なめです。
横糸密度を上げると、織物の幅は機上でも、狭くなっていきます。それは、織り密度が少ないと縦糸が横糸に掛ける負荷は少ないからです。横糸の密度が上がるほど、織物が窮屈になり、横糸も織った状態でアップアンドダウンして対応をしようとします。そのため、織り幅が狭くなってくるのです。
このことは、柔らかい糸を使うほど幅は狭くなります。たとえば、横にリネンを使うよりもウールを使えば、折りあがりの幅が狭くなってくるのです。また、同じ密度でも、太い柔らかい目の双糸を横糸に使えば、より窮屈になりますので幅は狭くなります。
堅く考えると以上のようなことですが、ファッション性を重視するときには、細かな布本来の品質的なものはほとんど考える必要はないかと思います。デニムなんかでも高密度に織り上げたものは、生地が斜行するのが当たり前のことですので、ジーンズが左右対称でないのが良いジーンズみたいなこともありえます。