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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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信用
2012年10月01日
同じ会社でも人が違うと対応も違います。以前資金繰りが苦しいから買って欲しいと頼まれて実際には取引を止める紡績工場の糸をつかまされたことがあったのですが、その会社の別の担当の方というのは信頼できそうな要素を持っておられます。ある糸を買おうとしたときにこの糸は弱いとネガティブな要素を告知されたのです。その糸を最初見て毛羽が大目なので織りにくいだろうなあという推測があったのですが別の要素に惹かれて使ってみようと思ったのです。

糸商さんにしてもわざわざ間に入ってもらう理由は糸のプロでないと駄目なわけで、間に入ってもらうことで問題が増えるようでは、自分で糸を手配したほうが安全でその必然性すらもが問われます。騙すことが商売になってしまっては、その方の印象が悪いだけでなく会社の品性が問われます。糸商さんにしても、海外の企業との取引の時には注意をしていないと安さに引かれて品質の悪いものに引っかかることも多いでしょうが、それを第三者に被せるようなことをすれば信用というものは崩れます。営業の人にしっかりというのではなく、その会社の体質なので、品位をまもるためには社長がしっかりせんと駄目だろうなあと思います。その会社でもできないといわれている人ほど正直な人だったりして正直に商売をすることの難しさを実感します。

老舗の糸商の人間が箱の中身は別物だと平気でいわれるのも驚きで、それが本当なら海外の偽物を引っ張ってこられて黙って売っていられるというのはどういうことなんだろうと思ったことも有りましたが、会社全体のことではなく個人の問題なのだろうと思いますが、社内で実力主義を取って営利重視の会社ほど偽装も多いものです。麻糸にしても信頼できる人やルートから買うことが非常に大事だと常に思うのです。

ヨーロッパブランドの糸でも実際どこの国で作られているのかはブラックボックスなことが多いものです。それは相手が悪いのではなく、イメージを作りあげることで商売をする日本の商社側に問題のあることも多いのです。実際に自分が紡績をしている会社は正直なものです。あとは日本人が日本の糸を使う業者さんにどう伝えるかです。業者さんも素人だと引っかかってしまいます。糸にしても、北アイルランド、イタリア、フランス、ベルギーで作られたことになりますが、実際に、高品位な細番手の糸が今は、中国、ポーランド、リトアニアなどで作られるようになっているのが実情で、幻想だけが一人歩きすることも多いものです。

生地にしても国産なのか海外産なのか産地を判断することも難しいですが、糸の紡績地にしても、ファイバー原料、さらには、フラックスの産地にしてもそれを扱っておられる会社の体質を見て、信頼の置けるルートで買うしかないのだろうなあと思います。