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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
在庫
2009年11月18日
今の時代、糸の会社や普通の織物会社には、在庫というのはほとんどありません。海外の紡績会社にですら糸の在庫というのは年間生産量からするとほとんどといってよいほどないのです。そういう風に在庫を減らしながら物を回すことで在庫リスクを軽減しているのです。それが優良な経営とされるのですが、私自身は別の考え方をしています。安定してよいものを作るためにはベースとなる糸は大事で、リネンやラミーのような作柄に影響される天然の素材は、良い糸を確保することは重要なのです。

林与には、糸商以上の糸の在庫を抱えています。単なる糸ではなく、糸種ごとに100色を超える色糸があり、それを元に見本作りなどを進行しています。今の時代、そのような在庫糸というものに対しての評価が低く、物をつくれない時代になってしまっています。一回限りの消耗品のような感覚でのものづくりで長く使ってもらえる良いものが作れるのかが疑問です。

生地に関しても同じです。麻生地に関しては、過去に作った数千種類の生地を眺めながらものづくりをしています。そのことが商社ベースの流れで動く他の機屋さんや紡績メーカーとは違うものづくりの基本となっています。今の時代にライフワークでじっくりとものを作れる人がいるかというと、ほとんどおられませんし、織物の現場において長い経験を持っておられる職人さんたちでさえも満足できる仕事ができるかというと難しい時代になってきており、良い要素を集めた上でじっくりとものをつくることが必要な時代となっています。

昔から、小ロット多品種、高くても良いものを作っていけば日本でやっていけるというのが、一つの日本的なビジネススタイルだったのですが、ここ数年は大手の安い中国製品の時代になっており、大手さんはすべてが安いものに特化される時代になって来ました。でも、本質を考えると安いものが高く思えてしまうから不思議です。