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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
テキスタイル用語辞典
2012年11月27日
テキスタイルツリーのテキスタイル用語辞典が、アマゾンのファッション書籍のベストセラーになっているということで、3780円の、しかもマニアックなテキスタイル用語辞典というものがベストセラーというのもびっくりです。

このテキスタイル用語辞典は、繊維関連の企業でしたら素材メーカーからアパレルさんまで社内においておくと便利です。学生にもよいですね。また、ハンドメイド愛好家の方にも。洋服のお店なんかでも繊維用語が飛び交いますので大手のSPAさんから百貨店で働かれる方まで。

今年の5月のプレミアムテキスタイルジャパンでは、コラボさせていただき、著者である成田典子さんご夫妻が弊社ブース内で辞典を販売くださったのですが、ずーっとお客さんが続いているような状態で手にとって中を見られた方は多くがご購入。中身が充実していて手に取ると欲しくなる一冊です。

私が別の点ですごいなあと思ったことは、テキスタイル用語辞典は、通常の本の流通のシステムとはことなり、自社サイトでの販売をメインとしてスタートされたのです。そして、書店を回って置いてもらえる書店を見つけて置いてもらう形で徐々に広がりをみせ、アマゾンでの販売もスタートされ、発売から一年も経たないうちに大人気な軌道に。

3年前のジャパンクリエーションでは、成田典子氏と初めてお会いしました。私が繊維業界に入った頃に分からない言葉があったら調べるのに使ったファッションビジネス用語辞典(FB)を、若い頃に編集されたということで私がびっくりしたのです。私に会いに来てくださった目的が、なにやら、織物の写真の横に説明のある初心者の人でも楽しめる辞典を作りたいので素材の提供をお願いということでした。

それが発売なども当初の予定より、少し延期になりながらも順調に発売にこぎつけられ、手に取ってみたときには、すごいなあと思ったのです。内容は濃いまま、素材画像がついて分かり易くなった感じです。百聞は一見にしかずといいますが、逆もまたいえることで、画像を見るだけでは分からないことも多いもので、画像の横に素材の作り方や歴史的なことまで書いてあったりで、非常に勉強になるというかためになるのです。何か名前がついている布があると、その裏には歴史的なものが潜んでいたりするというのが面白いところです。

テキスタイルツリーのサイトのサブタイトルは、「テキスタイルを愛する人へ」。成田典子氏は、「私、素材が好きなの」と言っておられ、そんな方が作られたテキスタイル用語辞典なので、素材への思いが一杯詰まってとても分かり易くバランスの良い感じの辞典にしあがったのだと思います。最初に言ってられた、初心者の人でも楽しめる辞典というものをまさに形にされたのだなあと思いました。

コラムなんかでは、伝統的な日本の織物の歴史なども取り上げられ、織物というのが地域に根付いたものであるというのを理解できます。私なんかも普段現場での作業が多く、国内のことでもあまり知らないので、今度旅行する機会があればぜひ立ち寄って実物を見てみたいなあと旅してみたい憧れの場所が見つかります。私のほかの活用は、見出し語の下に、英語表記があることで、最近海外とのやりとりで、メールなどで英語の用語が思い浮かばないときにこの辞典が役立ったりです。

私も織物の世界におりますが、こういう辞典を読むとオリジナリティや多様性というのは大事だなあと思うばかりです。当たり前にあるようなものでも、それを最初に生み出した人がいてそれが広まり一つの文化となる。また、私自身が業界にいる人間の眼で見ると、辞典の中で面白いなあ、すごいなあと思える世界ほど現実の世界では存続も難しいというパラドックスを抱えているものだったりします。