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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
生産期
2013年01月17日
織物の納期調整で難しいのが、するという約束をもらっていてもその場になってできないといわれることが多いことです。もうすぐ、投入されるので投入されたらすぐに取り掛かってもらう約束をしていたものが、いざ投入の段階になっていっぱいだからできないといわれる。

引き受けようとされるときは一肌脱いでやってくださろうとするのでしょうが、実際の現実問題になると、手一杯で動けないような状況であるために断られる。急ぎの仕事で急遽他でできるところを探すなど。

生産期に入るとどこもが手一杯な状況になりますが、問題は、どこもが厳しい状況であるということです。特に閑散期と言うのは持ち出し状態が続くので、人を減らされるものですが、忙しい時期が何ヶ月続くのか続かないのかも読めないものです。

手の込んだ良いものをつくれば売れるというのは分かりますが、それは素人の専門家的な発想なのです。手の込んだ良いものを作ろうとすれば時間だけでなく普通のものをつくる何倍もの神経を使うもので、振ったら出てくるという手品の世界を要求される今の時代では難しいものです。

良いものを作っていたところほど廃業されていくと言うのが現状で、天然繊維の世界では日本らしい高度な技術を出しておられたところほど廃業されていくものです。とくに、織物と言うのは一番手間の掛かるところですので、自分のほしいものがすぐに出てくるというのはすごく怪しかったりですが、そういうのも業者さんによっては、海外の安価なストックものが国産のものに化けてしまったりも良くあること。

高いものを扱われている百貨店さんの扱われているものですら本物か偽物か分からない時代で、ブランドは本物であっても、その語られるものづくりが本当なのかというところは分からなくなり、大手のSPAさんが逆に産地を公表しなかったりも正直じゃあないかと思うのです。産地を叩けばまがい物が産地から出てきて半分分かっていながらバイヤーさんも謳って消費者に売ってしまうような暗黙の了解の悪循環を辞めないことには。

京都の何百年の老舗呉服屋さんも、国内の産地の手織りだと信じて買って海外での素人の手織物をつかまされて高く売ってしまうと言うのは、本当に高く買われて使われる方にとっては厳しいところです。手織りの良いものというのは、一ヶ月に一人の人間が数十メートルしか作れません。一反作るのもそれなりに時間が掛かります。

生産には何百メートル必要といわれて海外生産に気がつかないとならないですが、素で私に言われたのにびっくりしました。その業者さんが産地を語られながらも実際には海外生産の業者さんだと言うことも知っておられないと、ものを扱う老舗を語られる呉服屋さんですらもが、赤子同然では本物すらも淘汰されてしまうのは当たり前なのかもしれません。

もう20年ほどまえでも業者のあつまりでも麻を織っているのは林与さんくらいだといわれたもので、産地産の麻織物というのは本当に限られていると言うのは事実で、それを守ることも納期の短縮化かつ職人さんの高齢化での生産性の低下などに伴い、織物が織れなくなってしまっている産地が直面している現状です。