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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
近江上布
2013年01月20日
近江上布に興味をもたれて午後からお客様がお越しくださいました。近江上布というのはそれぞれの家ごとの違う素材使いであったりと家ごとに似て非なるもので、林与の近江上布は一般に知られているオーソドックスな古典柄の近江上布とはちょっと違うところがあり、欧米のデザイナーの皆様からもモダンだとよく言われます。

過去には近江湖東の産地に世界の他が真似をできないほどの手織り絣のものづくりが流れていることを大事に、少しづつ形にしていきたいと考えております。私が50歳になるまでの6年ほどを準備期間として使おうと計画をしております。近江という狭い世界ではなく、日本のワビサビの世界のものづくりというのは、デザイナーの皆さんが最終的というか哲学的にたどり着くところではないかと思います。

日本のテキスタイルメーカーが海外に行っても、ハイテク素材や複合素材、新技術が注目をされるばかりですが、日本の昔の織物の世界と言うのは手間隙の究極とオリジナルなデザインの世界だった部分も情報発信していくことが大事ではなかろうかと日本の織物文化を考えたときに思うのです。

近江上布のハギレにしても、それに驚愕の念を感じるのか、ゴミと感じるのかは人さまざま、世界中のテキスタイルを探され見慣れた方々が、林与の近江上布のシリーズをご覧になられ、今まで見たもののなかでも一番くらい驚いたといっていただけることも多いのは、林与がそれを半世紀以上封印しておいたことにあろうかと思うのです。

そこまで達していながらも、作ることも難しく一般の人が手がとどかなく、消えざる終えなかった手間隙の世界と言うのは、やるだけ無駄そのもので黙って消し去るべき世界なのかもしれないと思うことすらあるので、私のおじいさんである林與一が、箱に「外に出すべからず」と書いたのも分かる気がするのです。

ワビサビの世界と言うのは、色柄だけの問題ではなく、その作り手の生き様をあらわしているように思います。日本からワビサビに通じる感性がなくなってしまえば、デザインをつくったとしてもそれは本質を欠いたものではなかろうかと思うのです。