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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
鉄板カード
2013年01月27日
ヒガエの鉄板カードを組んでいます。朝から昼過ぎまで掛かりそうで、何百枚もの蝶番を組み合わせるような形で、くみ上げていきます。今の織機ならフィルムカードにパンチしたり、コンピュータのデータ入力で済むのですが、それのカードをくみ上げるために何時間もの作業。それほど難しいことではありませんが、部品が限られているので他のカードを分解して使わないとならないので、何時間も掛けてやってあるひとつの仕事がこの仕事のために駄目になると言うのはもったいない気がします。

こういった手間の部分、本物に手間が掛かっているのでものづくりとしてはいいんじゃあないでしょうか。出来上がったもの以外の部分で、半世紀以上昔のものづくりの手法で織り上げると言うのも、織物の技術の伝承の部分での意味合いあろうかと思います。

手織りの織機と業務用の力織機もシャトルを使いますが、一番の違いは、手織りの着物生地の場合には、糸の番手が非常に織物に影響を及ぼすと言うことです。薄い織物をつくりたければ細い糸を使うべきで、太い糸を使えばしっかりとしたものが織り上がります。

戦前は、湖東産地でも内地で織られるものと浜で織られるものは違いがあって、浜で織ったものは蚊帳とか座布団地とかで、琵琶湖に近いところで織ったものは比較的太い糸を荒く織ったものが多かったために、安いものが多いとされていました。着物用途というよりも資材用とだったからだと思います。資材系の麻の手織りのイメージは、アジアの手織りの織物と非常に似ています。品質が悪いと言うよりもそれも用途に応じた味わいを持っているものなので、繊細さよりも、丈夫さが必要だったりするものです。

昔からそうですが、座布団地などは価格が厳しいので本麻のものが少ないのです。スフや綿にギマ加工を施したものとか一般に使われます。時折、麻の暖簾ようの生地の話も有ったりしますが、アパレルブランド向けのラミー糸にしてもリネン糸にしても綺麗過ぎて向かないと思うとお答えします。綺麗な糸を使うと、仕上がりが綺麗過ぎて味わいを求める資材系には向きにくいのです。ソバカスの入ったリネンなんかも味わいを求めるハンドメイド向け素材としては適していると思いますが、アパレルブランド向けにはいろいろなトラブルが予想されますので使えないと判断します。

現実的にも、中国の内地でつくられる斑感のある麻糸とか、ちょっと段やキズがあってあまり上手に見えない織りのもののほうがお土産屋さんなどは味があって見栄えがするものです。日本の職人が手織りで織ったものにキズなどはほとんどないものですが、海外では、麻の手織りのものと言うのは子供が作ったりしていることも多く、キズや段があっても小学生くらいの子供が家のお手伝いとして織っていると思えば目くじらを立てるのは可愛そうです。