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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
三方よし
2013年05月22日
「三方よし」の考え方というのは、経営者が学ぶものではなく、丁稚さんに教える程度の基本的なことです。自己犠牲こそが三方よしの基本で、それは丁稚の状態から経営者の状態まで貫かれるべき精神であろうかと思います。

また、「三方よし」の精神というのは少し話をするとすぐに分かるもので、これは近江出身だから云々というのではなく、心優しい人がもつべき精神で、ときには、それに反する精神に対しては非常に厳しく対応する必要もあります。

興味深かったのが、「三方よし」を経営哲学に取り入れているかという、滋賀県と龍谷大学が行った調査です。近江湖東地域の企業には、経営哲学なんてものがそもそもないことが多いということで、それは、経営だからといって人が生きていくときの信条をベースとしているからです。丁稚さんには「三方よし」の考え方を理解するのは難しいもので、なぜそれで商売が成り立つのかというあたりだと思います。北風を吹かせる商法が良くありますが、それは「三方よし」とはまったく逆の考え方。

「三方よし」の精神では、相手を助けることが商売の基本で、宣戦布告なんてしたものが負け、負けるが勝ちというのが常識です。本来、商売をするときに、10以上の力をいれて、なんとか10を稼ぐというのが「三方よし」の実践的な形ですので、譲り渡したとしてもそれを奪った競争相手が自分の大事にしてきた人たちを守れたとしたら、自分は身を引いたとしても天晴れなものです。そういう中で全体的な産業の発展も円満に進むのだろうと思います。