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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
見本
2013年07月22日
週末は見本つくりに追われて、今週も見本つくりに追われます。私自身は織物の仕事というのは見本も本生産も両方が大事だと思います。実際には、本生産以上に見本つくりのほうが、超小ロットの世界なのでものづくりの実力は必要です。また、商業アイテムの場合、同じものを本生産で再現することが要求されますので、そのあたりが、見本つくりのときにも材料の選択、工程の選択、織機の選択、加工の選択など、迷うことも多いのです。本生産が小さいならこの方法がベスト、本生産が大きいならあの方法がベストとか、想定価格が安いならこの方法がベスト、品質重視ならあの方法がベスト。納期が短いならこの方法がベスト、長いならあの方法がベスト、とか。

ものづくりしていていつでも作れるというものなら、それほど価値を感じませんが、自分自身が相当無理をしないと作れないものというのがあったりします。何十万円の仕事をいただくときに、いま糸から手に入れようとすると何百万円のお金が必要になったりすることもあるのです。そういう話驚かれますが、特殊な糸を手に入れようとしたり、特殊な加工をしようとすれば、高いだけでなくまとめて注文しないとやってもらえなかったりするというのはよくある話です。

そういう覚悟をしていないとモノづくりというのはできない。これって普通の仕事の感覚でやっていたら出来ないものです。モノづくりを続けていくためには、下請けさんが仕事がないといわれると仕事を無理して出して在庫を積むこともあったり。数十万円の加工賃を払って助けるようとすると、自分自身は数百万円を出費する覚悟が必要だったり。昔は繊維業界だけでなく、日本というのは互助の精神で回っていたのだろうと思います。そういう精神を取り戻すことが日本のものづくりの再生に繋がるのではなかろうかと時折考えます。ジャストインタイムが流行の時代に、自分自身で作ってそれを売っていくというスタイルがなかなか成り立たないもので、そんなスタイルが成り立っている海外のものづくりが強くなってきているのも、働く力というものを最大限にマキシマイズしているあたりにあろうかと思います。