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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
すこし落ち着いて
2013年11月01日
上海では十分睡眠をとって充電をしたつもりですが、上海から帰ってから寝ていない毎日が続きました。今日は夕方、「林与」のミニロゴがなくなってしまったので印刷しに彦根の組合にいきました。

会社の中で出来る仕事というのはどこまでも急ぐことができるのですが、糸、染、加工が絡んでくると外部とのタイミングの調整や仕事をまとめないと電話やファックスだけじゃなく、手でそれを持って動いて作業をするので、織物屋ながらも糸に関して、染に関して、加工の準備や加工から上がったものに関して作業することも多いのです。

この自分で動く作業を避けて仕事をするのを選べば、量もこなせるようになるでしょうけど、スタイルがゴロッっと変わると思うのです。馬鹿な話ですが、届いたリネン糸なんかも箱を開けて、そのロットの生成やオフ白の色味を確認してから使ったり、染めに出したりします。

毎回微妙に違うもので、毎回、注意して確認するから気がつくもので、注意していない人にとっては同じものでしかありません。染にしても、加工にしても毎回微妙に違うもので、違うなりにも、それが揺らぎの範囲か作業に失敗によるものかの判断は大事だと思います。

たとえば現実に同じものをつくるために林与が10数年前までに行ってきた手法というのは、何トンもの良質の同じロットの糸を押えること、染めの量にしても同じ程度の何十キロかの糸を染める。加工にしても見本のときから1反加工するというような、今の時代からするとかけ離れた贅沢で、品質を最優先してきた経緯があります。

そのくらい日本の品質は厳しかったので良いものが存在しえ、海外の生地が入る余地がなかったということがいえるかと思います。仕事の体系が一回一回の契約形態になると全体的な信用で取引していた時代とは違って、無理をせずに、普通のものを普通に流すのが適した流れになってしまいます。信用で成り立ったような日本社会というのは世界的に見ても稀なケースだったといえます。人を信用することこそがバブル経済を生み出したともいえ、人を信用しなくなりバブル崩壊を迎えたようなのが、日本経済のイメージではないでしょうか。