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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
分業
2014年04月25日
ある審査会で、ものづくりに徹して販売はほかの人に任せる方法を検討されては、というアドバイスをいただいた。私が考える商売のスタイルというのは、突き詰めていけば、自分が、魚を釣って魚を売るとか、おにぎりを握ってとか、野菜を育てて、道端で売るのも商売の基本だろうと思う。それではなかなか厳しいねえという答えが返ってくるかもしれないけれども。そういう基本の形を忘れてはいけないと思うところもある。

ファッションの世界においても、分業が進みすぎて、主流として、ゼロから自分でものを作り上げるということがもう何十年もされなくなっているような気がする。大体が、ほかの売れ筋のものや誰かが新しくつくったものを真似するという形。ものの作り手にしても自分のスタイルみたいなものがあっていいと思うのだがそれもなく規格や工程に従ってものづくり。その程度だと、仕事として働いている人のほうが、知識なんかにしても趣味の人に負けてしまうのではないだろうかと思える。

素人の方が自分のアイデアでつくったものを販売しているのをみて、業者が良いなと思われたのか真似をして同じものをつくって同じ売り場で販売してしまうというような話を聞いても、どこまで業者にクリエーションする力も後ろめたさもないかという話。素人に創作意欲やセンスがあっても業者には案外それがないというのが厳しい。

繊維の世界で生き残ろうとすると難しいなあと思うのは、3月末になると退社される方というのが多いことからもよく感じ取ることが出来る。私が織物の世界に入ってからの20年でも地場機屋さんの数も3分の1以下になっている。何十年の経験のある機屋でも廃業をされていくなか、新しい人が織物の業界に飛び込んで成り立たせることは昔以上に難しいことで、技術だけじゃなく、精神的な面でも、次の世代が前の世代よりも強くなければ商売として残すことは難しいだろうなあと思う。