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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
確かなもの
2014年04月28日
スーパーに行って、魚の売り場にいくと産地が書いてある。本当か嘘かはそれを扱うものの良心次第というところだといえる。まさに店の看板が命。海外産が日本産に化けても見抜ける人がどれだけいるのか。その場所で漁をしている人なら自分でその魚を食べているだろうから味の特性も分かるだろうけど一般のものには見極めは難しい。

布の世界では呉服の時代から偽物と本物が混在していたので、信用という看板が重んじられたのだろう。行商して遠くから歩いてきたということで、呉服価値以上に人柄を気に入られ商いに繋がるケースがほとんどだったのではないだろうか。商人の価値というのはそういうところにあり、物がすべてではないと思う。ものをつくるにしても同じで、出来上がったもの以上に自分が作ったというあたりが一番大事なところだったろう。

私自身がものを作るときには、売れ筋のものと顔が違ってもよいと思っている。それは、自分が作った証でもあるから、多少不細工になってしまっても、自分らしい顔があってその布を自分が気に入っていればよいと思う。

展示会で並べている布などは普通に見えても、自分自身が麻布としてちょっと面白いなと思う布なので、その微妙なところに共感いただける方との出会いを見つけるのが展示会だろうと思う。海外の展示会などでも、相手が話を聞いてくれるような方だと私が何を考えてその布を作ったのかとか、作る途中の細かな雑談まで布の一つ一つにストーリーがあったりする。納期とか値段とか品質とかじゃない、それが作り手がもつ確かさだろうと思う。自分でモノづくりをされている方にはそれが伝わりやすく大事にしてもらえる。ありがたいこと。ものづくりは、ものじゃない人の世界だといつも思い、また、確かさに繋がると思う。