2010年02月04日
今日、また、京都のビブレという若者層の集うファッションのスポットが閉店するというニュースを読みました。これを考えると、お互いに競争しながらも百貨店や繁華街というのもある意味そこであれば売ることが簡単だという産地としての存在だったんだなあと思います。自らが情報を発信して、そこに人を呼び集めることで、地域全体を活性化するという働きがあります。
北アイルランドの織物業界も厳しい状況が続いており、今、アイルランドで残る機屋さんにしても、アイリッシュリネン糸を使うことができなくなり、中国をはじめとする糸を使っている状況で、糸に関しては10年ほど前から特別なものではなくなってきました。特別なものとするためには、織のほうでの伝統が必要ということで、アイリッシュリネンファブリックというのは中国糸をはじめとする糸などを使いながらも伝統的なリネン機屋を守るかたちで、織や加工のほうで立ち上がっておられます。
北アイルランドは、リネン糸の産地としては消えてしまったものの、織物の産地としての生き残りを掛けておられるわけですが、中国やほかの産地で作られるものに淘汰される運命にあるのではないかと思います。日本は偽装問題に関して一番厳しい国なのですがリネンに関しては偽装が蔓延している状況なので、ヨーロッパというのは偽装や品質に関してさらに甘いところがありますので、アジア産ファブリックがヨーロッパの業者の手を経てアイリッシュリネンファブリックとして日本に入ってくるようなことのないようしっかりとした統制をしていただきたいものです。
でも、そのあたりがヨーロッパ企業にとって一番難しいところだと思います。北アイルランドの紡績が無くなった今も、箱にはアイリッシュリネンの文字とマークが付いていて、日本ではアイリッシュリネン糸のであるかのように見せかけて売られているのが現状ですから… 実際には、糸を作っている中国企業にしても自分たちの作っている糸がアイリッシュリネンに化けているのですからびっくりだと思います。
アイリッシュリネン糸やアイリッシュリネンファブリックの現状の説明に関しては、アイリッシュリネンと謳いながらも実際にどこの国で紡績したかも語れず、端折って誤魔化しっぽくなっているのはその辺りです。産地偽装に世界で一番厳しいはずの日本なので、産地というものが強力なセールスポイントとなっているのだと思います。
ここ数年アイリッシュリネン糸を使用と謳ったものが大量に日本で販売されている件は、リネン業界も偽装問題の拡大に驚いています。リネンをネットで販売できる時代にはなったものの、リネンに関する間違った現状の説明を消費者に与えるのはよくないですし、特別のものだと信じて買われた方が気の毒です。