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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
野麦峠
2015年12月06日
野麦峠というと残酷なイメージがあるようだが、現実的にはまったく逆の世界で長時間労働になっていたところがある。一年働けば当時100円という工賃がもらえ、田舎なら家が買えるというような高待遇で、農家の娘たちの憧れの職場なのである。今のサラリーマン社会で残業しても、1年の給料で家が買えるなんてことはほとんどなく、今のほうが野麦峠よりも厳しいという現実もあろう。

産業がないときに人々に産業をもたらして、農業では貧困で食べていけない人々を救って、悪者扱いされている繊維産業というのも気の毒なところがあるが、比較するなら、単純作業で長時間くらいは、たぶん、現代中学生高校生の受験競争のほうが難しいし、新しいことを次々と覚えないとならず厳しいだろう。それでいて大学を出ても使い物にならないといわれ仕事がないのだからどうしようもない。一生単純作業で生きていけるというのは幸せな時代そのものでそういうことですら罪悪視して潰してしまっては成り立つものも成り立たないだろう。可哀想とも思っていないものに可哀想という感覚を植えつけても、そういうもともと恵まれない立場の人のチャンスを奪うだけに終わるのではないかと思う。

今の子供のほうが大人よりも仕事の吸収力がある。小学生は初めてミシンをさわっても、ほとんどの子が1時間でカバンがつくれるが、大人が同じようにできるのかというとたぶん難しい。子供は、新しいことでもやらないといけないという覚悟がすぐにできるものだ。