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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
三方よし
2016年07月26日
三方よしの三方というのは、「仕入先、自分、お客様」という意味だと自然である。商人が三方よしを語るときに、売り手(自分)よし、買い手(お客様)よし、作り手(仕入れ先)よし、だとイメージがわきやすい。そして、それがよい関係で商売が永続し、誰もが幸せな状態が生まれるというのが、三方よしであろう。わたしが聞いてきた三方よしは、「売り手よし、買い手よし、作り手よし」というものであった。

いつの間にか、作り手よしの部分が忘れられて、普通にありがちな二方よしになってしまったのではないかと思える。売り手よし、買い手よし、で世間よしになるというところでは、故郷とか作り手とかいう、近江商人特有の滅私奉公的な概念が見えない。近江商人の基本は、次男、三男であるという辺りで、長男が実家の家屋敷仏壇を守るのを助けるという思想がある。だから、自分の生まれ故郷の産品を全国に広めることが、故郷のためにもなり、母屋の名声が地域で高められるというあたりが世間よしに繋がったのかもしれない。それすなわち、世間というのは作り手のことであろう。今の解釈というのが、世間に悪いことをしてはいないかという部分とは違うと思う。

外の人からみればそういう地元主義というのはきれいなものには映らないかもしれないが、海外産や多産地のものを扱うでは、海外や他産地の業者さんががんばられるべきところが普通というか理想ではないのかと思えたりする。やはり自分が手がけたものが売れていくというのは、お金儲けとしては遠回りになるし、つどの苦労だけでなく、常に生産する環境を維持する必要があるが、それが本場の産地を謳うだけの価値に繋がろうといえる。

こういう考えは持論過ぎて、商売としては成り立ち難いものであるが、今、自分で百貨店などの店頭やネットでの販売を手がけてみて、自分で作っているということがやはり一番の売りだろうなあと思えることが多いのである。