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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
夏のインターン最終日
2016年09月04日
今日が夏のインターンの最終日。機も立って、糸も繋ぎ終わった状態で、糸を送る作業でまたもや、苦戦。縦糸が100本以上切れてしまっているのを直す作業。前と後ろに分かれて作業してもらう。そのスピードは相当なものだと思うけども、それでも延々と何時間も作業。腰も痛くなられたことだろう。でも、まだ布を織る作業にはたどり着かない。筬通しなども必要である。並行して、チーズワインダーでは、次の整経の糸を割る作業。

夜には、織る準備がやっとできて織り始め。想定していたよりも組織が甘く、組織の変更が必要であり、カードを作り直すことに。明日からは学校、今日の夜中の夜行バスで東京に戻られる。Sさんも作業は楽しいと頑張ってくれるけども眠さも極限だろう。寝る時間を惜しんで仕事しても、一本一本の糸を扱う麻織物の作業が進むというものでもない。最後まで布が出来上がらない状態でのインターン終了で、そういうのも現実の仕事でもいくら無理をしても納期に間に合わないこともあるのと似ている。

すごく能力も高くがんばり屋なSさんで、2週間週末もなしに朝から晩まで自分なりの力も出し切ってくれたけど物事が予定通りにできないこともあるのも分かってもらえ、それが現場の現実なんだということも体験してもらえたと思う。最後も夜行バスの出発ぎりぎりにバス乗り場に到着で、やることだらけが残っていて目の前のことに追われるというような状態も見てもらえたのではないだろうか。

Sさんも新しいことでも何でも自分がやりますというタイプの方でそれゆえに、仕事が理解でき仕事が見えてあれもこれもやらないとならない作業が頭一杯手一杯になってしまうのも分かってもらえたと思う。ほかの人がいてもその人たちができないと逃げる部分を自分がそれを抱えて解決して行くという経営者的な視点も、今は専門学校の学生であられながらも来る前から持っておられるというのは驚きであった。今の若い人たちが意欲さえもっていれば、数日で経験者を越えるような力に達してしまわれるあたりが恐れるところで、日本の地場産業というものが衰退して行く背景には、海外ではそういうなんでもやりますみたいな力があふれているのに先進国とされる日本の繊維ではそういう力がなくなって仕事の本質も見失い、軽く考えがちな新興国にも追い抜かれてしまうのだろうと思うのだ。学校教育を受けていない子供たちのほうが日本の大人よりも仕事を覚えて実際にする力では強いことも多いのが日本の抱える課題ではないのかと思える部分がある。

小さな企業が大手企業のものづくりシステムを理想とするようなことしてては大きいところにも負けて行くのも当たり前で、小さな企業のものづくりの魅力を発信して行かなくては駄目だろう。規模の小ささを利用してカラパゴス的な世界を作り上げるしかないんだろうなあと思えるのだ。今回のインターンのSさんでも、二十歳半ばながら、一見、中学生か高校生のバスケ少女が、どこでも生きていけそうな力もっていて、私も含めるおっさん連中以上に仕事に対しての意欲があり、地力もあるというのも怖い話なのであり、それが今後の日本の繊維産業の希望であり魅力の一つだったりするんじゃあないだろうか。私のお客様や知り合いの方でも、ほんと繊維にあこがれもって貫いておられる女性の方が多く、気持ちからして本物だから強いのだ。自分じゃなくても、自分は消耗品でもよいから、そういうやる気のあるだけでなく実際にやる強い人が生き残って日本の繊維業界や世界の繊維業界を盛り上げてほしいと願うのである。