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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
アイリッシュリネンハンカチ
2016年10月26日
アイリッシュリネンのハンカチの裁断を行う。この生地をみると本当に特別なリネンなのでうれしいのである。世界で数トン残っているかいないかと推定されるアイリッシュリネンの糸なのだが、現行の150番手を織って同じ加工をほどこしたものと比較しても、しなやかさなど格別である。真っ白のハンカチも良いかもしれないが、ビンテージらしい色が私は好きである。

真っ白のリネンハンカチが良いなあと思って最初真っ白のバージョンも作ったが、ジャパンクリエーションで調査すると、9割以上の方がオフ白を選ばれる。リネンの理想はやはりナチュラルな感じなのだなあと実感。私も自分の好みよりも皆さんが好まれると思って真っ白にしたけど、自分の好みのオフ白が人気でちょっと良かった気分。それ以来、オフ生成を晒すことなく、アイリッシュリネンらしいゴールドがかったビンテージな感じのオフ生成のままで提案させていただいている。

作るのに整経だけでも半年とか掛かって、織るのに3ヶ月とか掛かってしまったアイリッシュリネンのハンカチなのだが、このオフ生成で仕上げるために余計に時間が掛かってしまったともいえる。生成のままなので、色むらやフシなどが目立つので、そういう部分をなるべく取り除きながらいい感じに最後1枚のハンカチに仕上げようと裁断などの際にもなるべく良い場所を選んで裁断。

このハンカチにストーリーがあるのは、アイリッシュリネンの象徴の一つでもあった、2004年に閉じられた北アイルランドのハードマンズ社のサイオンミルで紡績された最細番手の糸で、1970年代に手に入れられる世界で一番良いリネン糸であったということ1枚のハンカチですが、アイリッシュリネン糸の歴史を語る遺品なのです。

140番手の糸の話は何度か聞いていたのですが、実際どこにあるのか知らず、先代が亡くなってから倉庫の2Fで、ちょっと大きめの未開封の箱をいくつか見つけました。箱の中をあけて糸を触ってみると細すぎて、綿麻か?と思いましたが、紙管にSION MILL T12とあり、箱の横にはMADE IN NORTHERN IRELAND と輸入されたときの表記があり、ラベルには、HERDMANS SION MILL LEA140。これかあと、先代が一番大事にしていた糸でした。その倉庫の別の場所には、アンドリュースの80番手、別の倉庫には、ハードマンズ社の100番手の生成が何百キロづつ今も眠っています。