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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
国産品
2010年03月18日
今日、午前と午後に2組の来客がありました。どちらのお客様も老舗の染工場の閉鎖の話を持ち出されました。染工場のほうでは大手の紡績会社が中国に製造拠点を移す流れの中で、日本に染色の将来性はないという判断をされ、染色業からの撤退を決意されたということです。

近江の産地もそうですが本場での麻機屋がほとんどなくなり、尾州産地でも毛織物が、米沢でも絹織物が、遠州でも綿織物が… どこも本場といわれたところの世界に誇れる芸術品クラスのものが海外の輸入物や他産地でもできる安価なものにシフトされて行き、独自にあった織物文化というものが消えていこうとしています。

麻の世界では、独自のクラスの商品作りをしているつもりの林与ですら、安価な製品と比較されるケースも多くなってきているので、通常の機屋さんのノーマルな織物が日本で生き残るというのは難しい時代だと思います。産地では、他で麻が織られなくなった背景もまさにそこです。

日本国内での天然繊維の紡績というのは壊滅状態に近づいており、海外で糸を捜すのが糸メーカーの仕事となってきています。天然繊維において、中国の紡績の技術水準がNO1になりつつあるのも、日本のメーカーの技術を超えたレベルで中国メーカーが商品開発を始めているからです。しかも、技術力に余裕のある範囲で量産向けのものづくりをしている感すらあります。中国の紡績メーカーの技術に日本の紡績メーカーが期待するような状況になってきています。

布を見て触ったときにその品質の違いに気がつけるかどうかという人が、プロの世界でも少なくなってきているのは事実で、国内では、プロと呼ばれる方がより安いものを求められている傾向が続いています。今までものづくりをされていたところも自分で新しいものをつくるよりも安いものを探しに出かけておられるというのが現状です。

ものづくりを実際にされなくなった形での商品開発という部分には、自分で作るよりも他でつくたほうが安くて簡単だという部分があるかとは思うのですが、商品開発される方の知識自体が広く浅くなりすぎ、中国製品と日本製品の壁というものがより低くなってきたように思います。