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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
年度末
2017年03月31日
今日は行政の年度末、今、新しいデザイナーの子が入ってくれて、林与もこの春からは動きがスムーズになれると思う。仕事をする前というのは、仕事が何かという辺りがなかなか飲み込んでもらえないことが多い。林与も対応が悪いことが多く、時間に終われて出来ないことが多いのが実情である。外から見るとちゃんとすればと思われることが多かったりするのだが、言うは安し行うは難しも多いのである。

社長なんで最後の責任は私がで、社員の失敗も注意はするが失敗するタイプの人というのは直すこともできないので代わりに直したり、現場でもできない難しいことは私がやることが多かったが、これは今に始まったことではなくて、伝統産業の流れを汲む産業の衰退の状況では良くありがちなこと。途上国のものづくりが上達して、先進国のものづくりは落ちてゆくというパラドックス。人の手間を惜しんで効率を求めたときに、誰でもできる作業の行く付く先というのは海外生産。先進国、日本で残るからには、人の能力が必要な作業を行って、他では難しいといわれるものを作らないと残れないだろう。日本製というだけで、メイドインジャパンというブランド意識や伝統や経験に溺れると、いつのまにか、普通の仕事もまともに出来なくなるものである。

私自身が、勉強になるなあと思うのが海外の展示会である。日本国内で、麻のニットといえば、40番手くらいでとどまっていることが多いが、海外では80番手クラスが、量産で流れてしまっていて、40番手と80番手では難度は、たぶん、5倍くらいの差があるだろう。国内の麻のニットが急減速したのも、技術力というか技術欲の差で、日本のものづくりがフラグシップでなくなってしまったからということだろう。もちろん、百貨店など向けは、品質ならびに安定性重視なので、40番手でとどまる選択もありかと思うが、日本の素材には、品質と安定性が要求されて海外の素材はノークレームが当たり前でというのも流通面からくるものづくりへの責任転嫁が厳し過ぎるところであろう。

40番手のニットを販売しようとしても、80番手のニットが流れている市場では、地味に見えてしまう。もちろん、リネンニットのパンクする問題などとの兼ね合いになるのだろうが、そういうのを流通サイドも責任を分担してやっていかないと、もう日本の流通やものづくりって安全思考で地味になりすぎて。実は素材を使う技術も大事で、面白い素材というのは危ういのだが、縫製の技術でカバーするとかすれば他にない特別のものとなりうることが多い。

日本も縫製が海外よりも落ちたと思えるのが、海外ブランドの一流縫製では、反物をすべて検反して一番よいところを料理するという腕がある。日本ではそれができるところが少なくなっていて、反物にキズがあると使わないということにつながり、結局は、安全な素材しか企画にのらないという話になる。アパレルにお勧めできるのが安全な生地だけになるのは残念なことではあるが、一着の一つの生地の一つのキズでも、百貨店さんからアパレルに戻って、林与にきて、修正工場に出して、その反対に、修正工場、林与、アパレル、百貨店へと戻ると、2000円X6回の送料プラス皆さんそれぞれ伝票作業が伴うので、無理はしないほうがよいのかもと思える。林与もあまり表には出さないが普通アパレルさんにはお勧めしないような生地もあって、もしお時間があられるなら、伊勢丹新宿本店1F婦人雑貨売り場での伊勢丹のみの市で、本麻やアイリッシュリネン140番手や、ラミー500番手をぜひご覧いただきたい。