2010年03月22日
リネンに関しては、日本国内で出回るアイリッシュリネン、フレンチリネン、ベルギーリネンと呼ばれているアパレル製品や生地の十中八九が中国やアフリカで紡績されていますが、ラミーに関しては、まだ、国内紡績のラミー糸が存在しています。
最近の危惧する問題としては、昨年までは、中国ラミー糸では発生して、国産ラミー糸ではクリアできた問題が、今のロットに関しては、国内紡績ラミー糸でも中国紡績ラミー糸と同様の問題が起こっています。リネンにしてもラミーにしても、同じ銘柄をとっても、昔と比べると糸の品質が落ちてきているのは事実なのですが、中国紡績糸だから問題があるから使えないと言っていたのが、とうとう、同じ問題が国内紡績糸にも起こり始めています。
これは、1回だけのことだけでなく、セカンドトライで、2度の違う糊付工程、染色工程を経て同じ問題が起こったので相当シビアな問題だといえます。中国糸同様、原料の質の低下で、紡績の均一性というものが取れなくなってしまっているのだと思います。昨年までのロットでは問題がなかったのに、今のロットは、昔のようには使えなくなりつつあるようで非常に不思議な現象です。品質の低下を危惧していましたが、縦横ともラミーの細番手使いに使うことが難しいというレベルになってきており、当面は、中国紡績糸と同様に縦綿のものの横糸に使うなどの配慮が必要かと考えています。
数年前に、ラミーの細番手クラスの問題で、横糸使いですら、どこもがトラブラれたような話を聞いておりますが、その部分を林与では織の技術でカバーしています。今は、ラミーの細番手を織るのにラミーに水溶性ビニロンを巻くという手法が増えてきていますが、仕上がりの違いを重視して、林与の本麻手もみは何十年も変わらぬ一本糊加工という工程で作り続けております。
余談になりますが、以前、中国の紡績メーカーの依頼で、中国紡績のラミー糸をテストしたことがありました。見た目はしっかりとした糸なのですが織ってみると完全に駄目で、リネンの細番手を縦にしても横糸使いで問題が発生し織れないのです。テスト結果を報告したところ、あっさりとあきらめて在庫を全部廃棄するということにしたそうです。以前、韓国の綿麻の糸も依頼を受けてテストしたことがありますが、なんか、粉っぽかったです。
ラミーにせよリネンにせよ、通常に使っているのが品質の安定性を重視した原糸がほとんどなので、他の銘柄を使うと、良いにせよ悪いにせよ、その違いというものが良く分かります。また、安定した銘柄の糸なので、ロットごとのばらつきが少ないので、ロットごとの微妙な品質の違いに敏感でいられます。染などでも同じです。リネンを同じ黒に染めても、糸のロット、染めロットによって微妙に糸の癖が違ってきます。毎回毎回、良し悪しを判断しながら使っているのです。こんなわけで、同じものを作ろうと努力はしておるものの、同じ品番の布だから毎回同じということはありません。それが、天然繊維のよいところでもあり、作るのが難しいところでもあります。