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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
ソフト仕上げ
2017年07月09日
ソフト仕上げの在庫がかなり少なくなってしまっていて、この夏の分がいけるかどうか微妙なところ。秋ころからまた生産には入ろうとかとは予定はある。織機がたくさんあるものの、それでも織機が足りないと思えるのは、織機だけでなく、織物規格に応じた機も必要だからというあたり。

織機を譲り受けるときには一切合切という条件だったりするとそのあともうまく回せたりするけども、シャトルがなかったり、管がなかったり、機をつくる材料やスペアのパーツがなかったりすると、最初立ち上げるだけでも、中古のジャンクのコピー機を自分で修理するみたいな苦労が伴い、2台をうまくあわせれば1台としてまともに動く1台になるとか。もう1台もいざというときの部品鳥のために捨てられないとか。中古の織機が1台とかではそれを動かしてゆくということは難しい話だったりするものである。後ろにそれを維持してゆくための相当の部品など一切合切が揃っていないと本生産を受けるのは難しい。やったとしても織り工賃も維持費や修理費がかさみ消えてゆく話だろう。

とはいうものの、今の時代の機械も、1年で何回も修理に出さないといけないようなものが多いし、自動車にしても修理というよりも交換でディーラーでも対応がほとんど。新しい設備で機場をつくっても、数年後には古くなって部品もなくなる。それならたくさん織機が動いていた頃の時代の中古のほうが織機としての寿命は長いし、自分自身で調整や修理できるという強みがあろう。

一台の織機で同じものを織り続けるという想定だと織機の調整も必要がないので、調整に追われることも少なくなり生産性が上がる。そのことがまた、1台織機を入れただけでは一つの規格の織物を織るだけしかできないということになって1台織機を入れるメリットは劣ることになる。動かない織機を動くように立ち上げるのは機械の問題ではなく、糸が乗った状態で織れるようにの話になると別の問題であったりして、織機に無理をさせないように織らないと生産性も劣るし、仕事をしてもまともなものが作れずに持ち出しのマイナスで終わろう。

林与の定番のソフト仕上げがシャトル織りにしたのも、当時、高齢にもなられ急ぐ仕事やサンプルが必要な難しいものがつくれなくなって、簡単な量のまとまる継続的な仕事があるように考え、出機さんの仕事を確保するためにも定番をシャトル織にした。本来、麻の無地をシャトルで織るのはシャトルの味以上に、リスクが高すぎてやらない話なのである。レピアだと生産性が上がるのと、糸むらの問題も少ないので、リスクは格段と落ちるが、シャトル織にしたことで、使う糸も安定性のある糸に絞り、生成などでシャトルの切り替わりのタイミング起こりやすい色むらに対しても糸の選定から始まる。

難しいものが難しいから量のまとまる簡単なものを作るだけにしてもらうがそれがものづくりの新しいレベルとなってしまうので、それでも問題が連続して生じてしまって、定番の生産も断念をせざるおえないようなことにも一時期なったりしたこともある。一方で、海外で何千メートルという広い幅で値段も10分の1という値段の生地が問題もなく生産されるようになって、日本人の経験者のものづくりと海外の経験の少ない人のつくるものづくりが逆転してしまったのを感じる。

日本の麻織物の本場でも、産業が老いて正しいものもつくることが難しくなって産地の他の会社さんが機場を閉じられてゆくのもよく分かる話なのである。そういうのに流れないように、織れないといわれていた超細番手リネンに挑戦してみようと100番手を超えるリネンを自社の織機で織るプロジェクトを立ち上げた。150番手のリネンを密度にもよるが無糊で織るということにも成功した。一方で、同じシャトル織機で超厚地リネンにも挑戦したり。先染を得意にしてきた林与が無地の平織りに戻り麻織を追い求めた青の時代だったのだろうと思う。