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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
なぜコンニャク糊なのか?
2010年03月25日
細番手の本麻織物を手にされた方というのは少ないかと思います。実際に百貨店店頭などで売っているケースが少ないからです。甚平や作務衣などは高級なものでも通常60番手あたりを使用します。耐久性がより重要だからです。番手が太いとその分着ても暑くなるのですが、コンニャク糊加工などを施しラミーの毛羽を押さえた甚平は、夏着ていて非常に涼しく、エアコンの聞いた部屋では寒すぎるくらいです。

なぜ、高価なコンニャク糊を使用するのかという疑問に関しては、合成糊では粒子が大きすぎて、ラミーの細番手の糊付けには適さないから、天然のコンニャク糊を使用するのだということを聞いておりますが、先人たちがいろいろな手法を試して残った王道であるのかと思います。

先染の黒の本麻が光沢感があり、きれいなのにはそんな秘密があります。呉服の世界で使われるような贅沢をアパレル向けの素材に使用しているのです。縦糸にはコンニャク加工糸を使用しますが、横には糊のついていない糸を使用いたします。これにも王道的な手法で、横糸にもコンニャク糊を付けたからといってより良いものができるわけではありません。

このリネン日記をごらんいただいている皆様は、林与だと横にもコンニャク糊をつけたものを織って、より高いグレードを目指しそうと思われるかも知れませんが、出来上がったときのものの風合いをみて良し悪しの判断をしていますので、横糸には基本糊なしのラミー糸を使用いたします。(実際、やってみて風合いが良くなかったです。織物の横糸は基本やわらかくないと、織あがりも硬い織物になります。)

あと、ラミーの場合は、毛焼という工程が非常に重要です。毛むくじゃらの本麻織物も存在することは存在するのですが、服として着るのは厳しいです。ラミー織物の仕上において、毛焼は非常に大事だと思います。