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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
古代の大麻
2017年10月27日
古代において大麻というのは粗いもので、太麻と書くこともある。神事で大麻がつかわれるのも高級品とされる細いものではなく、逆に麻本来の味のある質素であるからだろう。高級なものにこそ人の欲や邪が潜むだろうから、原始的ものや祖なるものを大事にしているあたりが神道の精神にも通じるのではなかろうか。

大麻が古代から高級であると当てはめるのは、今の感覚過ぎるんじゃないかと思う。大古の時代にもカラムシやアカソなどより細くてやわらかく未精錬のシルクにみえるような繊細な麻があったけども、神社で大麻が使われるのは、素や粗であることこそが大麻が神社に使われた理由だと思う。麻らしい粗野に思える部分が神事にはよいのであろうとおもう。神社に供える麻というのは鰹節のようなイメージに近いものであり、洋服に使えるようなものではないようにみえるところがよいと思う。大麻に関して細くてやわらかいものがよいというのは、あまりにも現代の感覚過ぎるのではなかろうか。それを古代の大麻に求めるのも無理があろう。

リネンでも本来丈夫でよいとされるのは、ラインや一亜と呼ばれるものだが、硬さがある。グレードが低いとされる、トウや二亜と呼ばれるものは落ち綿なので糸にしても柔らかく、ホームファブリックなどには適していると思う。なぜ麻が高級とされるかの背景には、細くて長い繊維を取り出すことができ細い糸が作れることがあった。細い糸をつくるのは手間がかかり、また、織るのも手間がかかるから。しっかりと織っても細い糸を使っているので、柔らかさや軽量感、清涼感が伴うことになる。

日本の着物の世界ではしっかりと織ったものが良いものとされてきた経緯があって、江戸時代は、日本中で苧績みが行われていて、一般の人でも、自分自身が苧を績むという作業を行っているので、着物を見る目も高く。高級な着物に対する価値観も、高かったといえる。成人するときの晴着のために、親がコツコツと蓄えをしたというのも日本的な部分で、年配の方とお話するとその方々のおばあさんの時代の着物が残っているという話をよくお聞きする。