2018年01月19日
今日は助成金の締め切りで、広幅絣織物で3年目の申請。この助成金では林与が最多回数もらっている2社のうち1社であるそうで、同じお金でできることが3倍になるので、活用させてもらって自分のやりたいなあと思っていたことができありがたいことである。平成30年度はこの助成金の最終年度で、活動できる期間が8ヶ月と限られていて、材料など準備するだけで3ヶ月くらいたってしまうので、実質5ヶ月ほどで答えとなる成果を出さないとならない。
通常の仕事でひとつの新しい企画は2年、3年掛けて構想を練って試作を繰り返し形にして、売れるところまで持ってゆく。林与の場合には、商品というよりも生地という素材の部分なので、検証できる期間が必要であったりするのである。素材というのは変化するので、何年かたったときに問題が見えてくることある。その予兆を感じることができないと試作ができたからすぐに販売に向けて動くと危うい。染色や加工が絡んでくると安全性の面なども検証が必要でそれを考えるのも素材開発の重要なところで、通常の物性検査では見えないことも多いので、実際に使ってみて問題がないのかなど判断をすることが多い。
ブランドの商品開発の方で、「○○つくりたいのだけど、どうやって作ったらよいの?」とかから商品開発を教えてほしいと頼まれることが多くそういう商品開発が一番困る形だったりするものである。正直な話、アパレルの方が麻のものをやりたいのだが麻のことは初めてなのでとかの場合、弊社の生地でなくてもよいので、最初、麻生地を数メートルでもどこかで何点か買って服をつくられてみてを勧めるが、それもされないと、後々問題だらけだろうなあと思う。
繊維の世界が怖いのは作っている会社自体が何十億円の問題でもへっちゃらだったりするところで、年商十億のビジネスが成り立っていたりする。年商100億の急成長のブランドでも数年後には倒産とか。展示会のときに、そんな会社の社長と数人の部下がブースにこられたけども、社長が電話されるならまだしも、部下の方が社長が頼んだサンプルまだですかいやならいいですよみたいなのとか、別の会社でも上の人が林与に挨拶にいってこいみたいな感じで展示会のブースにこられた下の方が、うちとは口座開くの難しいかもとか言い出されて、会社でも力のない社員様だったり。その方が窓口な以上は、もう上の方が頼まれても取引しませんがその時点で決定。
その会社からは別の担当の方から電話で、こちらが客側の立場で100万ほどの材料を買う電話での話だったけど、注文確定書は違う商品。気がつかなければ、弊社の御発注となる怖さ。担当したその会社の社員も自分が手元にないものをあるといって違うものを受注確定書で発送すると送ろうとするミス。いつも買ってほしいという上のものには後日笑い話で伝えたが、私がその社員のファックスを見逃がして原材料を加工工場で加工してしまったら何百万円の実損で、私の受注した仕事はアパレルにとっては1千万円とかの機会損失。斡旋したのが生地商社だったからよかったけど、私自身がそんなミスをして、生産できますと受注を受けたら、そこでその商社からもアパレルからも受注したじゃないの絶対に生産する義務がある話になるだろう。私がファックス1枚確認して気がついて何百万、何千万円の失敗を防いだケース。田舎だと家一軒買えるレベルの怖さ、素人だと本当に怖い世界。
在庫がないのに間違った話をしたその会社の担当も自分が間違っていたことを悪びれる様子もないのが怖いレベルで、年商何百億の会社でもそんなものというの腹がたつ。数年前に、原材料の海外メーカーとその会社の取引の前に、その海外の原材料メーカーから林与にリファレンス依頼があって私が日本の繊維業界でも優良企業だからとその日本の会社をアプルーバルしたのが私だったから余計に腹が立ち、自分の責任だと感じるところがある。その営業マンが他に同じようなことをしていないかが案じられる。上のかたも、その会社も、うちからも買ってほしいといわれるけど買ってみると一番簡単なところでどうしようもないことにつながる危なさ。請けていない仕事だったので笑い話ですんだが、請けてしまって原材料を加工し届いてはじめて気がつくのが数ヶ月あとなら大問題。分かってて間違ったもの押し込んでくるタイプは一番困る。