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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
NINOW
2018年02月26日
3月27日、28日に、若手デザイナーのNINOWという一般向けではなくプロ向けの展示会が東京である。https://ja-jp.facebook.com/ninowtextile/ NINOWには産地を担うという意味がこめられている。弊社からも仕事経験1年の斎藤がデザイナーとしてたつ。私自身は、産地を担うというスタンスはあまりなく、自分がやることで産地が産地として残るだけなんだろうと思う。たとえば、先代のころのものづくりを担ったところで、テイストも異なり、売ることも難しいだろう。かといってよいものづくりだという評価はあるがそれが通用しない、でも、残していかないといけない。そうなってくるとそれは残すために新しい他の仕事で埋めてゆかないといけないことになる。

参加させていただく弊社デザイナーの斎藤にも、展示会に出て一番最初に気がついてほしいのは、自分が企画してものをつくっても売るのが難しいという現実。会社で仕事していると仕事した気分になってつくったものは売れるという前提で給料ももらえるのが普通に思うが、実際、ものをつくってもそれが売れる確立は低い現実を知って、売れるところまでを考え自分が食べていけるような感覚と力を身につけてほしいと願う。ひとつの企画が駄目なら並行して企画を立てて、そのうちのひとつでも注文が入ったら自分から生産に動いて仕事を一貫して成し遂げる気持ちが大事。

常に新しいことをどんどんとやって自分自身がいろいろな経験をして現状の問題を打開してゆくことがその人の力となる。高齢化する産地を支えるためには、熟練の方の仕事の準備や後片付けをすることが不可避であったりする。私も仕事に入ったときから、雑用や他の人ができないところばかりしてきたから、一人でも全部の仕事ができて新しいことでも簡単にこなせる力がある。

何十年の職人さんが動かしてこられた織機を受けても、その織機を動かせばその職人さんの抱えられていた問題が包括的に見えてくる。織機には正しく動くようにするための気配りがいたるところに込められていて、そういうのを無視しては織機は動かず単なる鉄の塊。それを理解してさらに自分自身の手を掛けてあげることで織機が問題なく動くようになる。若いころに自分の担当以外に、その職人さんたちの仕事の準備と後片付けをしてものごとが回るというのを感じていただけに、ものごとがうまくまわるように動くのが私の仕事で、全員ができないと諦めた仕事が私の仕事であることが多い。正しい織物をつくれない原因は、織機の問題ではなく織機を動かす人の問題であることがほとんど。

現場の人間が手が空いているのに、他の人にこれやってあれやってでは駄目で、私も若いときから現場の人間以上に難しいことや面倒なことをこなしてきたから、仕事をするのが当たり前の姿勢を誰に対しても言える。先代や先代世代に対しても自分が仕事するのが仕事であるということを常に説くから、先代世代からも方向性が逆なので嫌われることが多いけど、実際にいろんなことを自分が仕事して経験していると見えることもある。

問題解決には自分が仕事することが一番、仕事に自分の仕事じゃないとかなんてまったくないのだから、自分が本気で最後形にする覚悟もつところから。一人でも仕事をすれば仕事は成り立つというところまで持っていかないと一番大事な仕事が成り立たない。新しいことやりたいなら、今の仕事よりも難しいレベルのことだろうから今の仕事くらい普通にこなせないと理想のところで止まってしまう。年配の人たちがやってる仕事を若い人が面倒がるようなら駄目で、軽くこなせないとその人の仕事の力と考え方に伸び白もない終了サイン。

日本で織物つくるも海外の人が織物つくるも同じ競争の話。日本でつくるなら違う考えをもって仕事以上の気持ちがないとなかなか評価すらももらえない。若い人が仕事するときも年配の人以上に上手に仕事こなせないと食べても行けない現実。方法論ではなくて、目の前の仕事を前に進めてゆくことで、仕事というのは成し遂げられるし生まれてもくる。