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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
NINOW準備
2018年03月26日
3月27日28日、ヒルサイドテラスアネックス A棟で行われるNINOW展に、今朝から弊社の女性デザイナー斎藤が準備のために出発。若手のテキスタイルデザイナーたちにスポットを当てたイベントということで、私は会社で留守番。斎藤が染の作業を担当した広幅絣織物もハンガーを並べる。

横絣の織物が味があるなあと思えるのには裏にいろんな苦労があったりする。横絣というと技法だけが持ち上げられるが、デザインの部分も大事で、林与の場合は、おじいさんの頃につくられた近江上布の柄を広幅で再現するという形で林与の昔のものを継承しているので、NINOWのコンセプトにも合うのではないだろうかと思える。

元となる近江上布はあそびのような余裕を感じさせるデザインなのに、完璧な材料と技法に支えられていてそこも見逃せないところに思える。お釈迦様と孫悟空の話のように。そういう余裕みたいなところが力を感じる布なんだろうと思う。そういう技法の面白さやデザインの面白さをリネンワンピースにしたら布の力が伝わるようなワンピースができるだろうなあと、いう思い。6点の試作だが、私が見ていい感じに思える、力の伝わるような布ができたんじゃあないのかと思う。

今は、現場で通常の生産の仕事に手を動かしながらも、頭の中は、どうやって広幅絣をつくる機材を工夫するかというところ。広幅に織るだけでなく、捺染するのも広幅。頭で考えるだけでなく実際に形にするために実用に耐えうる機材を外部の協力も得ながら自分で一つ一つ揃えてゆく。それぞれの機材の製作で、ブレークスルーが必要だったりする。横糸に捺染すること、横糸を蒸すこと、横糸を巻き返すこと、横糸をシャトルの管に巻くこと、そしてその横糸を織り上げること。また、力を感じるようないい感じの布の風合いに仕上げることも大事な要素。

こういうクリエイティブな部分も単純作業も仕事は仕事。私の中で、どちらが大事かというと単純作業の部分だったりする。単純作業をこなせないとクリエイティブな世界が絵に描いた餅に終わることがほとんど。頭や口じゃなくて体や手、足を動かすことが大事で、面倒がらずにいろんなことを前向きにやって行く姿勢を貫いていれば経験の長さではなくて経験の深さでできることも広がってゆく。