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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
ピンポイント
2018年08月29日
分業というのはピンポイントな仕事で、慣れると無意識で仕事をこなせるので生産性が上がる。伝統工芸系では、分業というのが基本で、それぞれの工程の職人ということになる。工業的な生産でも分業が基本となっている。たとえば、大まかには、紡績、染色、織、加工など。そして、それぞれの工場の中で、1工程、2工程を専門に、初めの日に覚えた知識を蓄積していき、現場の職人となるスタイル。

私自身がそのスタイルが好きじゃないのは、壁を乗り越えるのが難しいこと。生地にしても単なる素材で洋服の材料となるものなのに制約ばかりになる。これは外の問題だけでなく、中でも同じで、自分の仕事はこれだけでほかは関係ないみたいな人が集まると人が成長することすらないのである。その人の専門の分野でもできないが増えて、プロがやってうまく行かないことに素人が頭を使って問題を解決するということが増えてしまう。

昔あった話で、出機さんで、白い布が油汚れの問題の連発で、仕事してもらっても注文に応えることもできず、材料、工賃で、4回立て続けで、何百万円の損失。見に行って確認すると、シャトルの出口に10円玉大の真っ黒な油の塊がある状況で織ってしまっている。私がそれを拭こうとするとあとで拭くからと拭かれる事を嫌がる。そして、結局、原因まで他の人が見つけても、それ拭かずに織ってまだ油汚れとか、現場の何十年のプロがその程度の仕事意識なので、海外の経験1年のものづくりにも負ける、仕事があっても問題のある反物ばかりでは地場産業が衰退して当然に思えることも多い。

分業でやっているとその分野でのプロ意識が勝ってしまって、自分しかできないと勘違いしてしまう。職人のやっている仕事にしても、基本は数時間で覚えられる仕事、それを正しくやれるかどうかが大事なところ。大事なのは、技術じゃなく、責任感とか人柄という要素なのである。仕事の分業という形態が、どんどん仕事の本質を分からない人を増やして行くこともある。