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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
年末年始
2018年12月24日
年末年始というのは物販の商売にとっては稼ぎ時というのがあるだろう、製造業にとっては基本的には休む側。小さな機屋で、麻関連なら休んでいるどころではないので、私自身早くに覚悟を決めてこの10年ほどは年末年始も仕事をしている。

年末年始の思い出で3つ。1つは、京都の小さな染色工場をお金払って3日借り切って布を染めた思い出、3日駐車場に寝泊りして染をやったこと。2つは、弟が帰省したので弟が手伝ってくれてシャトル織機を設置したこと、弟は有能だなあと本当に思う。3つ目は、型染めを年末年始の2週間寝る以外試行錯誤でこってりとやったこと、これが近江上布柄を広幅で復活させるための染の基礎となった。

予定していなかった大きな問題が発生したからということがある。京都の染色工場を借り切らないといけなくなったのも、見本を手伝ってくれた方と連絡が取れなくなって自分で本生産をしないといけなくなったから。2つ目も、どうしても織れないのが3つもあって、その3つを織るのにシャトル織機の調整で数ヶ月使うも断念。移設したシャトル織機を設置してその3つが織れた幸運につながる。3つ目は、補助金も得て、手描きがうまく行かず、本格的な型染に切り替えることで乗り越えた。

他にも年末年始の仕事にはいろんな思い出があって、通常の生産だけでなく特別なことをやっていることも多い。みんなが憧れるのが特別な仕事なんだろうと思うけども、そういう特別な仕事というのはどうしても時間が掛かるので、本業とは別のところで解決したりができないと成り立たすことも難しい。そうでなければ普通のことしかできない機屋に終わり、働く人が毎年、年を取って仕事がどんどん難しくなる中、残ることも難しいだろう。

これは機屋だけのことでなく、京都の染色工場なんかの事例をみても、やっていることは数日やればマスターできることで、それで一生食べていくというのも競争も激しく難しい話だろうなあと思えたりはする。普段仕事をしていると余裕の時間なんてないので、高度なことをしようとするとどうしても外の休んでいる年末年始なんかが一番良いタイミング。いろんな面で苦労はしながらも、自分はツキがあるなあと思う。