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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
ジャパンクリエーション最終日
2010年04月23日
今日はジャパンクリエーション最終日です。今回もたくさんの皆様とお話しできました。これからリネンを取り組みたいのですといわれるところもたくさんあって、普通ではない語れるようなものを探しておられる方が増えてきたのかなあと思います。

今回は、ビンテージアイリッシュリネン超細番手プロジェクトなどのプロモートもあり、リネンハンカチのベースとなる生地も展示させていただきました。興味を持っていただける方というのは非常に多く、リネンや麻の世界に関するお話のきっかけになりました。このプロジェクトは、糸のスペックだけの問題ではないのです。ものの価値観やものづくりへの価値観という昔的な価値観を大事にしたいという思いが含まれています。織物を製造する林与の糸やものづくりを大事にする思いなども組み取っていただけるかと思います。それだけではなく、今の時代に、どこまでのことができるのかということをやってみたい気持ちも含んだプロジェクトなのです。

麻織物の本場といわれる近江の産地の中で出来上がったリネンなのです。近江でなくメイドインジャパンなモノづくりであっても良いと思うのですが、妥協ない物づくりをしたかったのです。職人さんにはシャトル織機を調整繰り返してもらい、日ごろお世話になっている染工場にお願いし、加工場さんにもお願いして、近江湖東産地で出来上がりました。ブースにお越しいただいた皆様に素敵だといってもらえると、ご協力いただいた産地の皆さんの顔が浮かびます。林与は作った布を見ると、布の見た目の善し悪しより作った時の思い出が浮かび上がってくるのです。生地を触っていても、生の糸の状態の感触のイメージやキバタの時のイメージなどと頭の中で比べてたり、目の前にあるものだけの話ではないのです。

このハンカチ用のリネンに関しては、長年見てきたリネン生地のなかでも、林与も納得できる別格クラスの布い仕上がったとおもいます。この展示会の3日間、麻業界やリネン業界の皆さんも、小さな林与が元気にやっている姿を励ましに来てくださいました。滋賀県のファンド補助事業としての認定もいただいたこともあって、活力ある多くの皆様とのお出会いも増え、自分のことだけでなく、産地や日本のものづくりのことを頭の中で整理することができました。単に糸が細いとかビンテージだとかいうだけでなく、今の日本の麻業界の力を出しつくしたい気持ちで、そんな希少な糸を何度もトライアルに掛け、最終的に出来上がった布以外の部分でも、失敗談をたくさん語れるプロジェクトです。ベースができましたので、これからじっくりと色柄も含めてトータル100種類くらいのリネンハンカチコレクションに仕上げようと計画しています。実際にこのプロジェクトに携わってくださっている林与とお付き合いのある数社だけの力ではありません。近江湖東産地というのは麻の知識の宝庫です。林与が今こんなプロジェクトをできるのも麻に関する知識や経験が産地に残されており、それを活用させていただけるからです。

もうひとつ今回のジャパンクリエーションで考えさせられたのが、オーガニックについてです。エコなコンセプトというのは売れるとか売れないとかではなく、エコな気持ちをどう支えて育てていくかだと思いました。工業ベースでの生産に置いて、オーガニックもピュアなものを追求しすぎると、精神は、逆にオーガニックでなくなるというのが実際のところです。完全にオーガニックじゃあないから価値がないみたいな発想では、オーガニックに対する根本的な精神が崩れ去ってしまっています。コットンでもリネンでも根本的に天然繊維で地球には優しいのでそういう部分への評価というものがより大事だと思います。まだ使えるものをリサイクル推進してしまうような本質を忘れたエコでは駄目なような気がするように思いました。

同時に日本の機屋さんのことも…。機屋さんにしても、日本の機屋さんというのはトキが絶滅する前のイメージではないかと思います。トキがいなくなってからトキを繁殖させることに一生懸命になるより、早めにその根本的な原因に目を向けないと駄目だという部分は大事であるということです。今回のジャパンクリエーションでは、出展者数が減ったのですが、来場者の感じというのは前年よりも意欲的ではないかと個人的に感じました。最終日にも、トレンド委員長の井上氏がブースを覗いてくださったときにそのことをお話をしていましたら、ほかの出展者の皆さんも同じことを言っておられるとおっしゃっておられました。