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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
機屋さんが
2020年02月08日
今日もお客さんから聞いた話で、滋賀県で織物やってられたお婆さんが仕事を辞められたということで、ほんとよくわかる話なのである。何十年やっている人だから最後までできただけ幸せみたいなところで、新しい人がそれを引き継いでできるようなものでもなかろう。シャトルなんかも残っていたというから織機はスクラップになっちゃったんだろう。

織機が残ってもそれの面倒を観てゆくのは、お金を払ってトラブルの面倒をみるような覚悟が必要。若い京都の方が岡山の織機を引き継がれた話を聞いて、大変だろうなあと思ったりもする。次々と不具合が出てきて部品が足りなくなって仕事していても作るのも難しい状況に陥る。織機に対する適切な調整ができないと織機はどんどんと崩れて何十年使えるものが数年でゴミと化してしまう。自分でできる範囲を広げて自己解決が大事だろうと思うのは織物を織るだけでなく、つくったものを売っていくことに関しても。

自分で抱えておられる方なので大変だろうと思うがとにかく自分で行動してみてやってみることが大事で、何十年やってる人が見えないことでも瞬時に分かるなんてこともひたむきにやっていれば見えてくるだろうと思う。私自身織機を作られた方というのを信用していて、織機というものは正しい調整をすれば織れることがほとんど、調整が正しくなく織れないとか問題が多発がほとんどで、織る人が上手だと織機というのはどんどんと問題が無くなっていくし逆に下手だとどんどんと織機が使えなくなってゆく。

普通、悪い仕事ばかりしていると損も出るし、仕事が減って続かなくなるものである。だから、最後まで仕事が続いている機屋さんというのは基本、上手な機屋さんなんだろうなあと思うのである。ものづくりのところで下手で変われないとやめたほうがよいだろう、仕事をすればするほどお金が無くなる。ベーシックな平織の無地のようなものを堅実に織っておられたところが多いのも事実。一見、小ロット多品種のニッチェで生き残れみたいなのはギャンブルで、そういうニッチェな領域は普段の地道な仕事の余力から生まれ成り立つものであるといえる。

林与の長年やってる本麻の手もみなんかもその一つで、非常にお金の掛かるものづくりの典型、一般の卸向けには流せないほどにコストが高くなり、定番であっても1年とか2年に一度の生産で成り立たせているから続いているところがある。そういう生地というのは業者的にはあまり良くない商品なのだけど、作っている林与からすると一押しなのは、日本人が愛してきた麻の手本ともいえる麻らしい風合いや美観がそこにはある。