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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
ものの価値
2020年03月10日
ものというのは作れるときに作れるだけ作っておけばよいのにと思うかもしれない。林与の生地でもあの時には普通につくれたのにもう今は作れないなんてものがいろいろとあったりする。糸の要因や、染の要因、織機の要因、撚糸の要因、加工の要因など、技術はあってもロットが必要とかで現実無理な話も多く、なにか一つの工程がボトルネックになると、今までできていたことができなくなるものである。できていたときには普通にあったものだけども、できなくなったときには、もう今はもうできないという結論。

大まかには、普段の仕事はお客様の注文された量だけをきっちりと作って在庫ゼロで行くのか、生産工程に合わせて適切なロットで生産するのかに分かれるだろう。林与自身をみていると、お客様に作ってと注文をもらって、生産計画を練ってそのタイミングにまとめてつくるというのがよくある流れ。どうしても必要なサンプルで、機から、糸から染からが絡むと、コスト度外視の何十万円コースもあるが、それをやってもそれ自体で林与にしても利益があるわけでもない。お客さまにしても少しのサンプルをみるだけに何十万円では成り立ちにくいだろう。

一回で思い切って何百メートルか作れるなら、やれないこともないだろうけど、少しだけ見たい、その次に展示会サンプル分、そして発注は必要量だけという話になると、単純計算、3倍の時間と労力とコストが掛かる話になるのである。こうなってくると、仕事を受けて成り立つか成り立たないかというのは機屋の力というよりも仕事をもってこられるお客さんの力次第だったりして、ものづくりの方向性みたいなものが同じでないと難しいところもあったりする。