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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
暑さつづく
2020年08月25日
今日は岡山の方にとっては織物の2日目で、工場の2階で整経の作業。チーズワインダーで整経の長さに合わせて糸を割った後、糸を建ててもらって、整経のやり方の説明をして、あとは自分で整経を仕上げてもらう。夕方までには整経も終わって、初めてながらにひとつの整経をまき終えてもらった。

整経の作業も作業自体は単純な作業で、今回の糸は特に太い糸で白い糸だったのでやりやすかったと思う。これが、細い糸となってくると同じ整経作業でも何度は増す、また、色が黒いと難度は増してくる。同じ織物でも、糸が細くなればなるほど難度が高くなるのが麻織物の特徴。

夕方過ぎから、機場でシャトル織機を動かす練習。初めてながらスポーツマンで体力のある方なのでシャトル織機に力負けすることもなく、横糸の無くなったシャトル織機の糸交換を10回、20回と問題なくこなされていく。度胸があってスポーツなどで体を動かすことも体がついてくるから最初からでもそれほど問題なくシャトル織機を扱えるんだろうと思う。40歳くらいに初めてシャトル織機を動かし始めたころの私よりも余裕があるなあと思えた。

今日は、傷をつくってもよいということでシャトル織機に1時間ほど慣れてもらったが、横段などを作らずにギアを戻したり織るのは1週間くらいの慣れは必要だろう。昔はシャトル織機は、数年の経験が必要といわれたけども、私からするとシャトル織機は1週間くらいで十分動かせるようになるだろうと思う。シャトル織機も、動かす技術だけでなく、どれだけ上手に段を作らずに織るかと、また、止まった織機をどれだけ早く再稼働できるかは技術と同じく大事なことで、責任感や仕事に対する考え方みたいなものがすごく大事なところ。

織物も手織ならミシンと同じく、一人1台で人の作業が出来上がる量につながってくるけども、動力織物の場合には、並行して作業をすることができるので、並行して作業ができる人というのは一つしか作業ができない人の何倍もの生産性となる。逆にいうと織物の作業は並行して作業ができる人でないとなかなか食べてゆけないということで、一つの作業が正しくできても、自分が正しくできているのを見つめていないといけないタイプの人というのは難しい。見ていなくても正しく作業が進んでいるような離れ業ができる人でないと何台もの織機を動かしたり、合間別の作業をこなすことは難しい。そういうあたりが縫製とは違うところかなあと思う。シャトル織機を使っていても1台で1時間に1mしか織れない織物であっても、それを一人で4台、5台と動かすことでなんとか成り立たせることができたりもするものである。勤勉さが必要な感じだろうか。

1台の織機で織っているものが本当に織れないときには、工場全体がまったく動いていないのと同じで、それを織るためにすべての力を注いでしまうので、織物というのは一概に1mいくらの世界では話せないことも多い。よく、新しい生地でもいくらですかとかいわれるけども、順調にいってそれは成り立つ話で、順調にいかないときには仕事しているけど織っても傷で没とかマイナスというのも多いものである。手間の掛かる織物ほど問題も多くなりがちでそれをどう評価するかでできる世界もあればできない世界にもなる。問題を避けて通ろうとすれば、いつでも手に入るようなストック型の生地をチョイスすることもベストな方法だろう。麻の場合には、糸のロットが違うだけでそれが織れない問題になることもある。サンプルを作って、量産での再現性を求めるのが当たり前のようなあたりがあるけども、サンプルはサンプル用の小さな染色機で染めたり加工機で仕上げたり、量産はボリュームに応じて機械も変わってきたりする。再現性を求めるならサンプルで50mくらいの量産向けのテストをしておくこともすべての工程において大事だろうと思うが、30cmだけみたいとか着分で洋服作って量産というのは、ちゃんとしたものづくりなのかというと見えてくる問題も見えず危ないモノづくりの方法の一つだったりもする部分もある。