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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
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2010年06月05日
今日は土曜日でしたが、朝から奈良からのお客様がお越しになられました。弊社が最近お作りした生地などを見ていただいたほか、倉庫に行きまして、弊社の昔の近江の絣文様の見本などをご覧いただきました。

今作るものというのがどれほど無力なものなのかを私自身が実感する世界です。一本一本手織りするだけでなく、年間百を超えるような絣柄を生み出した先人の力には感服するところです。毎日ご飯を食べるように当たり前に、新しい絣柄が生み出されていたのです。イースター島のモアイをなぜ、昔につくることができたのかという以上に不思議な世界です。数十人の仕事とは思えません。

今、そのひとつでも作ろうとすると、数人掛かりのプロジェクトで、1ヶ月仕事ではないでしょうか。これは、単なるプリントではないことを考えると、世界では相当手の込んだ部類の織物に位置します。日本の昔の織物がどれだけ、手間隙を費やして作られたものなのかということを物語ります。

一ヶ月を織り上げるものなのに、コンピュータシュミレーションもせずに、どれもが今の時代にも新鮮に見えるような色柄で作り上げられているというのが軌跡だといえます。日本の着物の世界が世界に誇れる文化であるというのは、同じものを作ろうとしても大変だという再現性の難しさにあるのではないでしょうか。