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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
長栄座最終日
2021年01月17日
昨日の夜も、ハギレキッチンクロスを用意して朝に洗いを掛けて乾燥するも出発時間までに乾ききらずにアイロンがけし始めるも時間が掛かるのであきらめて、会場でアイロンがけすることに。

会場について昼食を取ってから午後1時くらいから会場準備。電源を借りることができて、アイロンがけも順調に来場の方は昨日の2倍くらいか。リネンのキッチンクロスというものは間口が広いというか、7割とか8割の人が興味を示していただけるようなアイテム。また、男性の方でも年配の多くの方が、滋賀県での麻織物が残っているということに興味を持っていただいている。そういうのを簡単に味わえるのがキッチンクロス。

長栄座を含め、滋賀県の行政というのは麻織物文化の保存に対しての思い入れは強く持っていただいているのを感じる。もう実際に近江湖東産地での麻織物の生産というのは本当に限定的になってきているのを感じてしまう。イメージ、林与は細番手の先染め織物を織ることを得意とする会社。他に、広幅の白無地の量産が主体な会社さんがあったり、ラミーが得意な会社さんがあったり、綿麻が得意な会社さん、サンプルに特化した会社さん、着尺が得意な会社さん。着物系では伝統工芸的なものを残しておられるところがある。でも、もう6軒くらいとかの世界。日本の麻織物の本場だった、近江湖東産地での産業的な麻織物の世界は風前の灯状態が続いている。

私は、経験のまったくない人にでも、糸から織りあげるまでの織物をつくる作業を1週間から2週間あったらできるように教えることができるけど、その知識を得たとしても1回1回の生産の単純な一つ一つの工程が、作業する人の総合力みたないものを必要としており、あとはその人の人間性。目の前の糸や織機じゃなくって、知識や経験があったとしても、自分自身が前に動かして行くという要素が強くないと、毎回の1回の仕事が、正しい織物までには出来上がらない。そのあたりは最初から最後までをやる作家さんと同じだが織物の場合にはその工程が本格的で長い。そこが本当に一番難しいところだろうと思う。やったとしても迷いがあるうちはなかなか大した仕事にもならないだろうし。何十年の職人さんたちでもアーダコーダいってると大した仕事にもならず、なりあがってしまうと、意欲のある海外の仕事をしたいの人のものづくりに追い抜かれていくのもよくある話。

私が絣織物などを海外で展示していると、中国の織物関係の人というのは一生懸命にどうやってつくるのか知りたがる。自分ができないことを他の人がやっているときに、自分がそれをできるようになりたいと思う最初の一般的な素養みたいなものが普通にあって、面白い話だけど、布というのは言葉みたいなもので布というのは布つくりに興味をもっている人に語り掛けて布をつくる十分な経験を持った人が気づいて、最初から何十年の関係のような気分で布の話が出来たりする。

違う場所で何十年まったく接点ももたないながら仕事をしていながらも、追い求めているものは同じみたいなところで、一緒に長く働いて来た人と話すように布の話ができたりする。林与自身は小さな工場が自分の世界のほとんどだけども、その古びた工場の中でやってることが案外誰もができないことだったり。インターテキスタイル上海も数千社が出ていても、私もある年に勉強の為に1日展示されたものを見て回ってみるけど、麻織物に関しては、自分と同じ波長をもった布を展示している会社は2社、3社だけだった。そのうち2社は、林与のものづくりに同じ波長を感じて相手からもコンタクトがある。日本の織物に興味をもたれているのだから至極当然のことなのかもしれないけど、案外ものづくりの世界は狭かったりする。

私自身も麻織物に関する情報を発信して正しい情報も常に求めようとしてはいるけども、同様かそれ以上に麻織物に関係して特別の経験を持っておられる世界中の実際にやっておられるいろんな方が私に正しい情報をくださることに支えられているのが林与。滋賀県の田舎の小さな工場のおっさんながらも、世界規模的な麻に関する情報に関して不整合な部分は本当にないから偉そうに正しいとやって行ける。

あるとすれば日本の一部の大手糸商社さんのサラリーマン的な隠し事とか、糸を売りたいのに糸の情報を一生懸命に隠されていてもその程度の情報は糸を仕入れられているあなた以上にその会社の経営者やあなたが窓口にしている人と話も麻に関するよもやま話でしているから、その会社に対して別の中国の麻の紡績工場からの信用情報のリファレンスが私にあってその大手商社さんが大丈夫かどうかのアプルーバルしたのもその日本の大手糸商社さんの今後の世界的な活躍に期待するからだったりする。世界の麻の紡績にしても私自身の日本の業者さんをそれなりにプロモートしているのだから、偽装とか情報隠しとかは駄目だよと思う。実際はやってる人からの情報がすべてで、それを間に入る人が正しく伝達するか、化かして金儲けしようとするかの問題。

ある滋賀県の繊維の製品関係のメーカーさんに対してのリファレンスや紹介依頼があったときに、私自身、生まれてからまったく聞いたこともないけど、全国的に有名らしい。大手アパレルサイトでPRやTVショッピングされていて国内一貫生産の最高品質で全国的に有名になったらしいが、地元のその会社の経営者をしっている人に聞くと日本的に有名でも謳っていることが本当なのかどうかすらがあやしくてやばい話らしいとか本当のようで、逆に大手にありがちな繊維の世界の素人に近い感覚で、海外仕入れしたものを縫製はやってられるようだがメディアでは日本国内での一貫生産に化けているとか、化かして売る世界が普通なのが元気な日本の繊維業界。金融関係のひとも県内で元気な一押しの優良なよい企業だと林与に紹介したいという話だったけど、本当の情報は地元の信頼できる人から聞いてしまってて、金融機関がそういうイケイケの会社を優良企業と考えてしまっているあたりからして、まともな繊維業界を育むことは難しい。仕入れたものが簡単に謳いだけで10倍に化ける世界がそういうところにはあって、その一番の謳いが一番怪しい世界だったり。林与でも謳いだけ騙せば、簡単に利益を上げることはできるけど、そこを踏み外せば、別に繊維業界にいる必要もなく、詐欺電話の知識や判断力の浅い一般の人を騙してなんぼの世界と同じ。

日本の繊維業界はそれなりに狭くって、ものづくりなんてどこでもできるようなものじゃなく、それなりにやってるところは構えてやってるけど、商社やブランドなんかが化かして売るの路線に走ると、1で仕入れたものを10で売る世界。生地商社を出られて独立された方がそれが自分の仕事と偉そうに言われていたが、厳しいという話があれば、まともに受けて、作る側はなんとかその人にも利益があるように値段を下げて下そうと考えている。小さくなってしまった日本の繊維業界だけど、生き残っておられる方の感覚が騙したものが勝ちになるのが日本の繊維業界なら早めに終焉したほうがよいのではないかとも思う。普通に中国原料仕入れで国内縫製とかでよいじゃないか。