2021年01月25日
延長されてこの3月末までは雇用調整給付金があるという話を加工工場さんに聞いた。雇用調整給付金がなくなると、繊維関係の会社の多くが雇用を維持できなくなるだろうと思う。アパレル関係は特にものが動いていないから。動いていたとしても流れる量が減って利益が上がっていないものが多いだろう。
縫製関係の会社では少し仕事が戻ってきたという話を聞くことが多いが、海外の縫製工場でやっていた仕事が、海外出張できないから、国内にシフトされた影響もあるのかもしれない。
林与の仕事関係のお客様は例年通りに仕事を発注くださったところが8割方で、一方で、取引先の二つの会社がコロナ以降、倒産あるいは更生法適用。手形や売掛金は大きな金額ではなかったので問題なかったけども、コロナの影響というのは特に高級アパレル関係がダメージを受けている。
もし、林与がアパレル向け生地100%でやっていたら、このコロナの情勢では、会社を回していくことは難しくなっていただろうと思う。コロナ前から、ここ数年アパレル業界は落ち込んでいて、消費税増税のあとは完全な不況モードで国内の生地生産は大幅に落ち込んでいた。さらにコロナで都市部の店舗は閉鎖で、去年の春夏物は残り、それを今年の企画として使うところも多い、今シーズンの国内のアパレル向け生地生産は壊滅状態。
4月以降、社員を抱えている繊維関係の会社では、雇用を維持できなくなり廃業やリストラが行われるだろう。多くの人を抱えている会社ほどその雇用の維持が難しくなってくる。私みたいなタイプだとコンビニのアルバイトでも別に構わなかったりするけど、そういう柔軟性も働く人に必要じゃあないのかと思う。繊維関係でも、アパレルや売り場にいる人が、製造の現場などに入って見たりすると、今まで自分がやってきたことはほんの一部だったのが分かると思うので、柔軟性が大事じゃないかと思う。
繊維関係の転職で多いのが、生地問屋さんなどが廃業して、他の問屋さんに移られたり、また、自分で問屋業をやられたり。生地問屋さんの方も、生地の製造の現場に入ったりして見られると良いのではないかと思う。また、他の業界に飛び込んでいくのもよいと思う。
私も、会社が家族経営規模に戻したときに、大阪の若者ばかりのソフトウェアの会社、またそのあと最先端のコンピュータの製造工場の3交代を経験した。繊維業界とは違ういろんな感覚に触れることもでき、繊維業界よりも一つのミスも許されないみたいな緊張感があった。そういう経験も今の織物の会社の経営には生きているところがあって、そういう経験がなければ繊維業界的な概念で経営を捉えてしまってできることも駄目だと思ってやらないことも多いだろう。
ソフトウェアの会社は、能力主義で、能力がないと残れない。コンピュータの製造工場は、スクラップは反省書だが、社員の福利厚生もよかったが結局数年後閉鎖になる運命。繊維業界のような人間関係で成り立つみたいなところがないのが印象的で仕事をちゃんとしないと残れない厳しさがある。繊維業界でそれをおっちゃんおばちゃんに強いても絶対に無理だろう。伝統系の田舎の織物業界というのは3Kのように言われるけども、ありえないほどすごく緩い業界だと感じる。
人間関係で成り立つ社会というのは、外の人間関係のない社会では通用しにくいもので、外の人間関係のない社会でも通用するように、人を育てていくことが大事だろうと思う。