2021年03月23日
価値観というものを統一しようとする人がいるけども、価値観というものはそれぞれが異なって当たり前だし、価値が合う人同士がものごとを成り立たせればよいわけで、価値観が違えば接点というものを無理やり作ろうとするといろんな問題が出てくる。
繊維関係でよくある価値観のギャップが、アパレルさんが上で、問屋さんがその次で、メーカーがいて、下請けがあるような構造。お互いが理解しあって対等に物事を進めていかないといけないけども、なかなかそれが難しくなるとそういう関係は逆にないほうがよいかもしれない。
織物メーカーにしても、縦の系列でやっていけるような企業さんもあれば、縦の系列に縛られて成り立たない企業さんもある。うまく行ける時もうまく行けないときもある。そういうときに柔軟に対応して、固定概念にとらわれずに、温度差がないような人とやっていくのが一番健全だろうと思う。
昔のことだけど、良いものが扱いたいということで、話を聞いていくと結局糸代にもならない値段でただで布を分けてほしいに近い話。最初から接点をつくらないほうがややこしくない。ほんと、自分は利益目的で仕事するのに、無料で分けて貰える布はないかみたいな業者さんもいたりする。仕事の考え方やスタイルがまったく違って、逆にあなたの売っている商品の在庫のものをただでくれませんかみたいなこというとびっくりされるだろうけど、同じこと。それが分からない人も多い。
繊維の世界では、B反や売れ残って処分に困っている生地を処分したい企業さんもあるだろうが、染や加工を失敗した生地や、物性の悪い生地など、その在庫を自分が抱える覚悟があればそういう生地を集めることはできるだろう。合成繊維系は特に今は処分するのが難しくなっているので、そういうのを覚悟決めて最後自分がお金払って処分する覚悟があれば、たくさん、在庫を持つこともできるだろうけども、1本の反物にしても1立方mともなれば、合成繊維系は、処分に1万から2万円くらいは掛かるから、倉庫いっぱいだと1億とか掛かることになる。
林与も、麻100%やリネン100%にこだわりを強くして、普遍的に価値のあるような布を作るようにしている。綿麻の布なども風合いなど悪くないけども、林与にたどり着かれるお客様というのはどうしても麻100%やリネン100%へのこだわりを持っておられる方が多い。
こぎん刺しの布も、耳糸に綿の糸を使用すると切れにくく織りやすいのだが、作家さんがリネン100%にできればしてほしいということで耳糸もリネンを使用した。キッチンクロスなどでもそういうご要望は多い。耳はゆらいだり食い込んでもそれよりもリネン100%みたいなものへのこだわり。お客様の価値観だと思う。
ちなみに、通常は、麻やリネンの織物でも耳糸は綿糸を使うのが普通で、着物なんかでも普通に綿の耳糸をそのままフチに使って着物が出来上がる。素材麻100%の表記は可能。なぜ耳糸は綿糸なのかというと、レピアの場合だと反物の中央と比べて片側がオープンなので、その分密度を混ませないといけない、シャトルだと密度が耳そばは混みがちなので切れ易いから。テンションの調整は筬への糸の通し方で微調整。綺麗に織れればそれが答え。