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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
久しぶりに
2021年05月25日
午前中、奈良からミルツルさん夫妻がお越しになられて近況をご報告。林与がやせたということを久しぶりに会われた皆さんは言って下さるけども、食べるものはたくさん食べているのと普通の人以上には動いてはいるので遅かれ早かれの問題なんだろう。

近くのジーンズ屋さんが自分で生地もおりたいという話をされているのをお話しするとミルツルさんも同じ思いがあるということで、私なりに正直な見解を聞いてもらう。今は戦後ひと世代守ってこられた機屋さんが終焉の時期で、そういう機屋さんから一切合切を譲ってもらってやらないとうまくはいかないのではないだろかと自分の経験も踏まえて思う。

綺麗な織機を数台手に入れたからと言ってうまくは回らないのが機屋で、織る部分というのはほんの一部のことで、織物を織るためには整経も必要だし、チーズワインダーなんかも必要。機の種も何十と必要で、機をつくるにはリーチングマシンが必要であったりと、分業が成り立たないのでやろうとすれば、どんどんと抱え込んでいくことになる。

ある場所にあった織機でも、譲ってもらった後に何十年も入れてから動かそうとしたけども一度も動かなかった織機だったという話で、処分したい織機というのはそういう事情があったりして、そこの会社さんが入れられる前にすでにその前の会社さんでも動かなくなって手放されたということだろう。

林与に来て、設置してから動かそうとして、職人さんに任せるも何か月たってもおれないままで、織らなければならないものの納期が迫ってきて、私が織機を見ると、すべての部品はついていてそれなりに動いているけども、消耗していて、正しくは機能しないような状態。そういうのは、何かが壊れたとかではないので、職人さんでも普通はなかなか原因を見つけるのが難しい問題。

本来は織機メーカーが存続していれば原因も簡単にわかり対応もできるのだろけども、現場の人間が織機メーカーの織機をつくったメカニック以上のレベルでないと、織物業も続けていくのは難しい話につながる。織機を維持していくのはフェラーリを維持していくような世界になってくる。

フェラーリが何百メートル、何十キロ走るために、メカニックが必要で、それと同じで何十年前の織機で織物を何百メートル、何千メートル織るためには同じようにメカニックが必要。メーカー不在のアンティークカーのメンテみたいなもの。