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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
断食
2021年10月20日
こぎん布が上がって来て、出荷の準備。織るのはできても問題は糊付けの想定、糊をつけるとどう縮むのかを想定しないといけない。普通の生地なら縦横の縮みはあまり気にせずに洗いを掛けた時の収縮率などの物性を気にするのだけども。こぎん布というのは、刺すときの縦横の目の数などを気にしないといけない。また、糊付けというのは普通の加工と違って、縦横の縮みというのは少ないもので引っ張った感じで糊を付けるので、目が開き気味になり、こぎんも刺しやすくなる、そんな想定。初めての糊付けなので、やってみないと分からないところがあって、想定をしながら、とりあえずやってみるしかない。生機のときよりはハリも出てぺたんと上がっていい感じではある。

必要なリネン糸がなかなか入ってこずに待っているんのだが、コロナで海外のリネン糸も手に入りにくくなっているのだろう。糸もどの銘柄でもよいのなら国内にある糸を使えばよいのだけども、一つの企画に使う糸というのはどの銘柄のどの番手の糸と決めているので、最初に決めた糸を使い続ける。

唯一、この前のキッチンクロス規格では、使おうと思っていた銘柄のその番手が他の仕事で少し毛羽感があったので違う銘柄に変更をした。たぶんそれが正解だったろうと思う。その糸が用途に適切なのかどうかとか、仕上がったときにどうかで、使う糸の銘柄を使い分けるというのは自分としては大事だと思う。

お客さんがそういうのを想定してくれないことが普通で、品質を安定してつくるという部分でしんどいことも多い、糸を先に将来使う分まである程度確保したり押さえておかないといけないのだけども、そういう想定はお客さんにはないものであって、そう都合よく使いたい糸の在庫が国内にあるとは限らないのである。

作ろうと思っても作れない状況というのは、糸、人、織機の3つの要素。糸が手に入らないとか、小さな会社なので手が足りないとか、その織物を織るのに一番適した織機が空いていないとか。他にも、特殊なモノづくりは、染の染料が廃版になったとか、特殊な染めをやめたとか。加工も同じで特殊な加工をやめたとか。

10年くらい前につくった見本などで、お客さんが特殊なものに興味を惹かれると、そういうのはだいたいもう今は作れなくなっている。撚糸を使ったものなども、小ロットでの撚糸が難しかったり、また、小ロットでやるとコストが非常に高くなったりで、今は企画が難しいのである。

特殊な染の案件があったけどもやるならやるで最善の方法でやらないと後から問題が出てきて薬品から変更とかはすべての問題のない工程もやり直しで致命的。新しい企画というのは50mくらいは作ってみないと問題が見えてこないことも多くて、後で問題が見えてきた時には致命的。

他にも、サンプルを手軽な手織りでつくって本生産をシャトル織機で織るというのもほんと本生産が難しいことが多く、その幅のシャトル織機でサンプルを作って本生産ができることを確認したものでないと、いろいろな問題は見えてこないのである。手織りでのものづくりは手軽だけども、量産には向かないのはそのあたりで、量産の前にシャトル織機で一度サンプルを作っておくのがあとあとの問題を避けるための方法。海外のブランドの方がハンドウィーブで10cm角のサンプルを作って見せてくれないかと頼まれたりするけども、そのほうが簡単は簡単だけども、実際に動力織機で量産する時にはいろいろと問題がみえてくることがあるから、イメージというだけですと伝える。

10cm角のサンプルは生機なので単なるイメージですというが、実際本生産では加工もすると縦横の色からして経糸は引っ張られて加工があがり横糸はアップアンドダウンするので強めに色が出る。それで結局色味がイメージと違うとなったりする。手間が2度というだけでなく、手を抜いて無理やりやったものに近づけるというのは至難の業で、それを1回で解決できる保証もなく、2回やったりしたら、その仕事も成り立たなくなるし納期も危なくなる、そして当たり前に他の仕事もできなくなったり。

手軽にやろうとする感覚というのは、手軽にやったものは単なるイメージだが本生産と同じだと思ったりだとの想定だと、あとで問題を片付けるのは大変だったりする。アパレルさんの事情などで手を抜いてコストを抑える開発というのは後で問題が起きた時に本生産が中止になったときには手を抜いたアパレルさんの方が費用などを面倒見てくれたらよいけど、最初からコストを抑えようとする企画の人が、あと本生産での失敗などの大きな費用を負担できるようなことはないのである。

プリントなんかでも技術の人と話すと問題も起こりにくいが、営業の人と話をするとプリント工場の人なのに話していることがまったく理解できていなかったりで、あとあと大きな問題に発展することが多い。色なんかでもあとで何とでも調整できますと簡単にいわれても、いざ本番になると出たとこ勝負も多かったりするもので、そういうときには私が現場で色の調整をさせてもらうことも多かったりする。現場の方が色の再現ができないといわれても、案外、色が濃いとか薄いとかの問題がなぜなのかの原因が分かるのが私だったりして、近いところまで1時間とかあれば持っていける。今までも協力工場が解決が難しい時には、現場で解決に立ち会わせてもらって指示して乗り越えてきた。