2021年11月12日
10年ほど前まである特殊な染の織物を手掛けていたけども、その特殊な染というのが色のばらつきが激しくてそれをコントロールする必要があったこともあり、染工場もその染を廃版にしてしまわれた。そういう商品を手掛けるときには、失敗しないように1.5倍ほどの糸の投入を行って本生産に備えるのだけども色味のコントロールなども難しいのである。
輸出向けだったので数千メートルの話になったけども色ムラのコントロールだけでなく、色の濃度調整なども必要だったりして、サンプル時の色を再現するために、染工場に出向いて私自身が色の再現ができないのを解決するために作業を指図して濃度を上げる。結論としてはサンプルの時とは染料の付き方は違うので濃度を調整したりして近い色味に持ってゆく。濃淡のばらつきは激しくなる。そういうのは本当に怖いのだけども、限られた時間の中で、手段がないときに、どう織で解決できるかと掛け合わせると、全体的な色味をサンプル時に近く持っていける。
問題も多いけどもそういう織物というのは、作るのは難しいので出来上がったものというのは面白くていい感じである。結局、余った糸なども、上手に縦横使って使い切ったりして、余分に糸を作った分のロス分は自社で生地を国内向けに販売して吸収する形。そういうのができてやっと全体の企画として成り立つ話で、輸出企画だけでは数千メートルの話でも、余分に糸を投入するなどマイナス部分が大きすぎて普通だと成り立たない企画。
今も、草木染で有名だった染色工場さんが染色業からは撤退される話があって、そういうのは本当に残念な話で会社経営が難しいような大変な状況なので仕方ないことなのだけどども。同時にそういう糸を使われていた企業さんでは力をいれてやっていた一つのシリーズが丸ごと消えてしまう話になる。興味深く前向きに新し染のこともやっておられただけに、ただ、弊社がバタバタすぎてコラボできなかったこともあって、コラボが実現していなかったこともあって、弊社自身は商品シリーズが駄目になってしまったということはないのだけども。特殊な染などは、継続性の面なども含めて、十分に技術的なことやコスト的なものも含めて形にしてゆくべきだと思う。よくありがちな全部本生産で駄目になってしまう大きな問題を被れる人があればよいけども後から直すことは最初から作るよりも難しい話で、そういうのを分かっていないと素材というのは怖い話。