for English speakers: Welcome to HayashiyoWelcome to Hayashiyo
リネンや麻を織る日々をつづっています。
ホームリネン日記師走
リネン日記
師走
2021年12月03日
本格的に寒くなってきて今年もやっぱり年末までには雪が降るのかなあと。大阪から帰って来て仕事に戻って、今週が明ければ、あと3週間ほどで外の世界は年末の休暇に入る。年末は1週間ほど自分が自由に仕事で動けて年始も1週間ほど自由に動ける。そして外の世界が明けると1月末納期がすぐにやってくる。1月末納期の仕事の話を先週から詰めていて、これから1月末までの生産が今シーズンの仕事の一番の山か、多色使いのシャトル織もこなさないといけない。

今までは平織の1色2色使いがほとんどだったので、シャトル織機1年目のスタッフの女の子がドビーと4色杼替えを経験する。ストールなんかを織っている時には、4色杼替えは当たり前だったけども、横糸が切れたりしたときにドビーカードを戻す作業が入ってくると今までとは異次元の複雑さになるだろう。ギアを戻す、横糸の処理、ドビーカードを戻す、その3つの作業を正しくこなさないと、織っていて正しいところに戻れなくなり迷子になってしまうのである。そういうのを乗り越えられる人というのは案外少ないもので、投げ出したくなる状況に一日何十回も遭遇するだろう。

こういうところで大事なのはそれぞれの作業の基本で基本がしっかりとしているとそれほど迷うこともない。一つ一つの作業を確実にこなせるかが大事な要素で、高度な織物というのは基本作業の積み重ねみたいなもので、織機よりも使う人の作業の正確さみたいなものが一番のよりどころとなる。理論的には分かっていても、頭と体が連動しないといけないし、あやふやな要素をどこまで消せるかが大事な要素。

織機の問題じゃなく人が織機を正しく理解して使えているかどうかというあたり、完全に一回正しい手順を体得できるところまでいかないと、あやふやなままの作業だと、ほんと迷子になってしまう。こういうのをこれからの人には乗り越えてもらいたいなあと思う。子供たちだと興味とゲーム感覚で乗り越えられることなのだけど、大人になってしまうとなかなかこういうのを乗り越えるのは難しいのが多いというのを、今まで職人さんとか経験者の方と接してきてじれったく思うところで、海外だと織物の仕事として普通にこなしていることでも今の日本ではまったく超えられない壁みたいな世界にトリップすることが多い。