2022年01月29日
今日は、レピアの耳を残しておいてほしいという話や、お客様向けに作った本生産での初回のキズの反物が残っていないかという話を電話でもらったりした。本生産をするときには、基本2割から3割のロスをみて糸を準備するので、織ぢ縮みや加工ロスをみても、10%から15%から程度をキズなどのロスとみて多い目に生産する。その中で一番良さそうなところを納品するような形で、どうしても一番悪いところが残る。
一般的にはそれはゴミのようなものなのだけども、林与的には、数十センチでも活用方法はあるので残している。それはSDGsがいわれる以前からの林与のスタイルで、生地というのは使い道というのは料理できる人間にとってはいろいろあるのである。糸なんかもなるべく残糸もロットごとにビニール袋にいれて残してあるので、先染めの織物工場の糸の在庫というのは同じ色でもロットごとにいくつも残っていたりする。でも捨てないのが林与のスタイルで、それを上手に使うことをまずは考える。
アパレルというのは、オリジナル生地などにしても、キズの多いB反、例えば50mに6か所以上欠点のあるたんものなどは引き取らずに作り直してほしいというのが普通。非常にもったいない話なのだけども、そういう基準をもっていたりするのが一般的なアパレル基準だったりして、生地を重ねて上からがっちゃんで裁断してしまうから、キズが多いとロスが多くなるので効率的には使えないから引き取りたくない話。野菜なんかでも出回るのは形の良い一部で半分以上の形の悪いものは振り分けられてお店にはならばず、業務用にレストランや学校給食、道の駅、そのほかは廃棄という形になる。お店に並んだ野菜の内売れ残るものは、レストランに引き取られたりなどなど。
キズの反物もよいところどりすれば使えないことはなく、ちゃんと洋服をつくれるので、本当に腕のある人というのはキズの反物でも使いますと買ってくださったりする。林与の織物の仕事も糸の問題など乗り越えて布ができるので、糸に多少の難があったとしてもそれをなるべくうまく処理して、糸商さんに問題があるからといって返すことはほとんどない。最近はリネンの生成でひと箱のなかの色がロット違いのように色が違う場合などがあって、それだけは生成りとして使うには本当に困る話でそれには苦戦をしているところ。
私がSDGsで思うのは、日本で昔ながらの天然素材の繊維業が衰退してしまってまともに生産も出来なくなっているのにSDGsとか不思議な話だなあと。昔型の繊維業界の多くの人が働くことができたような状況こそ理想形だろう。それとか、検査基準とかアパレル基準とか百貨店基準とか、合成繊維に近い基準を適用する品質の世界が結局天然繊維業界よりも合成繊維の流通を加速させて、今更、ビジネスとしてSDGsに向かうのかという皮肉さ。検査基準や品質を落とせばかなりの天然繊維は市場に流しやすくなるからそれが一番のロスを救うことにつながるだろう。