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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
全国シェア8割の熊本県産アサリ
2022年02月02日
ふたを開けてみれば絶対に最初から無理な話が30年以上もみたいな熊本県産の話で、熊本の漁獲量の100倍もの流通量とか、無茶苦茶なことが行われていたのが、熊本産のアサリ。熊本県のアサリ産業というのは黒歴史として消えることになるだろうけども、ほかの貝類、魚類、もっと広げれば、繊維なんかも、国産と謳われるものが本当に国産なのかという同じような問題をいつも抱えている。

林与では、販売先に糸の紡績地などを正しく説明したりするから、リネン業界にありがちなアイリッシュリネン偽装みたいなことはしないし、オーガニックリネン偽装もしない。違うものは違うでごまかさない。麻の業界って世界的に見ても狭いから昔からの業者には共通認識があってそれを超えるものというのは偽装の疑いが高いからすぐに分かる。共通認識から外れることをやると業界ではやりすぎじゃないのかということで私自身も偽装が行き過きすぎてアサ業界がアサリ業界のようにならないように正しい情報発信をしないといけないと思っている。

たとえば、イギリスのアイリッシュリネン100%使用を謳っておられた規模からすると大きく世界的に有名なブランドにしても、アイリッシュリネン糸がまったく手に入らなくなった状況も知らずに、林与さんはアイリッシュリネンはやってられますかみたいな私に質問。普通に流せるアイリッシュリネンなんてもうないから、ありませんという答え。たぶん、そのブランドの方は、北アイルランドで紡績されたアイリッシュリネン糸も使われたことも一度もないだろうと思うけども繊維業界もアサリ問題と同じような問題を抱えがちである。

林与にしても、中国紡績を使用している場合には中国紡績だという説明を業者の人にも正しくするし、それができないと偽装につながってきてしまうのである。中国の紡績工場が嘘をつくこともない、中国の紡績工場の人たちもアイリッシュリネンなんてもうないよと業界の常識をいっているのに、そういう紡績工場で紡績された糸が先進国の業者の手に渡るとアイリッシュリネンに化けて流通する、麻に詳しくない機屋さんや問屋さんや生地商社やブランドほど飛びついてしまって、アサリとおなじような偽装に走ってしまう。なにがどこで作られているのかという産地に関する適切な情報が最終の消費者に伝わる必要があると思う。

お客さんの用途にあった一番合った糸を選ぶ時には、どの糸を使うと一番問題が少ないかで、どこの国の糸とかどの銘柄というよりも、実際に使ってみて品質を検証して問題なく大丈夫かどうかが自分の中での良い糸悪い糸の判断基準。ロットが異なれば同じ銘柄の糸でも、問題だらけのこともある。使っている糸のことなどは業者さんも気にされるし、最終の消費者の方も気にされるので、昔につくったもので分からないときには分からないという返事もするし、なるべく適正な情報を発信する気持ちが大事だと思う。説明で化かそうとするは業者がよくやる手段で、地味に作業して作っていたらそこが一番大変なところで自分の作ったものに対して化かす必要はないだろうと思う。                    

熊本のアサリ業者も全国8割のシェアで、短いと3日とか1週間程度の有明の干潟に中国から輸入したアサリを置いて回収して熊本産として下すことを30年近くやっていて、中国産価格の2倍以上の国産価格で販売していたようで、中国の業者が騙すでなく日本の業者が偽装して化かして売って莫大な利益を手にしていたというのが実態。繊維業界も昔から似たような世界がありがちで一番の謳いが嘘とか他人事ではない話だと思う。アサリと同じ様に食べていけないから世界的に繊維での産地偽装もよくありがちな話。

最終消費者がものを買うときに情報を確認して納得して買って使うのだから商品に関する情報は正しく伝わる必要がある。もちろん小さな誤りなどはまれに起こることもあるだろうけどもそれは正直に訂正すればよい話。このような偽装して全国シェア8割の産地偽装アサリは、業者の金儲けのために組織的な偽装が行われてしまっていて、1回当たりコンテナ単位で何十トンで1g1円程度の上代、上代ベースで5000万円で、卸ベースで2500万円とすれば、1回やれば、1000万円とか1500万とか儲けていたような話にみえ、十分汚くもうけられた感があり同情する余地のある話でもなかろう。