2022年02月14日
2月も半ば、2月末納期のものの織を進めないといけない。1月末くらいから仕事が本格的に生産期状態になってフル稼働的な動きで生産をこなして行く、仕事のペースが一気に早くなって1週間ごとくらいに一つの仕事の案件の織が終わっていくようなイメージ。一つ一つの仕事が完璧に近いと問題も少なくて仕事は簡単なのだけども、問題が起こってくるのは問題のある仕事からということが多い。
織物の仕事にしても大事なのは織よりも整経が上手にできているのかできていないのかというあたりで、整経をする人というのは優秀な人をいつも選んでやってもらっていた。計算も必要だし、糸の管理も必要だし、織での失敗は数メートルのロスで済むが、整経においては失敗が全滅につながることが多いので、意味を分かって仕事している人でないと整経の仕事を組み立てて進めてゆくのは難しい。
林与の場合は、整経機を持っているので中で整経作業をするから、糸の問題などもそれなりに対応して整経をすることが多い。外の整経屋さんに出して整形したら、糸の問題で整経ができないということになっているケースも多いであろう。整経時に糸のコンディションを微妙に管理できないと整経で失敗してしまうこともありうる。例えば、同じ番手の同じ銘柄の同じロットの糸でも、白い糸そのままと、その糸を染めて使う場合では、整経の設定を変えないといけないこともある。色が異なると違う糸であるくらいに思っておかないといけないくらいに、糸質は変わってきてしまうのである。
麻の先染めにしても昔以上に難しくなりすぎてきているんじゃあないかと思う。白い糸をそのまま織って後染めくらいが一番予想外の問題が起こりにくい無難な企画に終わる。今、加工工場さんの後染めものというのはすごく混んでいるようで、コロナ禍が落ち着いたというよりも、コロナ禍で、中国など海外でやっていた仕事が予定なども組みにくくまたコストも国産なみに上昇して難しくなって国内生産に戻り始めているという状況もあるのだろうと思う。
安価に海外生産を行ってきたあたりの素材が国内生産に戻り始めているという要素があって、海外での物価上昇が輸入価格の上昇を伴い、国内生産にシフトしつつ、国内の全体的な物価も上昇させているような供給側の背景があるように思う。繊維以外でも、原油関連や食品関連での物価上昇が行われている。円安が背景にはあるだろうし、世界的なコンテナ不足問題、輸送コストの増大など、海外輸送費なんてタダみたいなものだったのに、それが重さに比例して空輸コスト位に掛かるようになってしまうと、安かった基本的なゾーンのものほど物価上昇は著しい。
リネン糸の価格も上昇しているけども、ここ数年で2倍くらいに上昇したのは、太番手で、イメージ、太い糸も細い糸も値段そんなに変わらんやんみたいな、不思議な状況になりつつある。太い糸を主体に使っておられた資材系のところは悲鳴を上げておられるだろうと思う。太番手の糸というのは使う重さも多いので成り立つんだろうかと思うくらいに太い糸は高くなった。リネンだけでなく、綿も、シルクも太番手の価格上昇は顕著である。