2022年05月31日
昨日、繊維関係の工場に夕方の納品にお邪魔して納品で2回目で初めてどうですかみたいなお話するくらいなのだけど、経営者の方が「私疲れた」と言われ、いろいろ背負ってやっておられるんだなあと感じた。けども、仕事を投げ出すような雰囲気の方でも全然ないし、きっと何から何までやってられて逃げられない立場で、自分の仕事観と周囲との温度さみたいなものを感じておられるんだろうと意味じゃないかと思った。
コロナで昔と違うのはサンプルなどをつくられる企業が少なくなったというのを言っておられた。業界全体として、お客さんが新しい企画自体を起こされることが少なくなって、量産なども減ってきているという意味だろう。大阪のパターンナーの方もパターンの依頼がコロナになってからは激減したということで、生地の業界から見ても国内の従来の展示会受注方式が消えつつあるというイメージと被る。
大手アパレルもブランド数を半減とか、それはブランド名が消えるだけでなく、全国にあるそのブランドの店舗自体が何十店舗も消える話で、そこで働いている人も仕事を失う。ブランドが残っても、店舗数半減となれば、必要な生産量は単純に半分で、今まで採算ラインだったあたりが、量が半分になればコスト上昇で売れ行きが悪いのに、値上げしないと従来の採算ラインには届かないとかで、もはや従来のものづくりのシステムそのものが通用しなくなった。
展示会受注形式のアパレルブランドのものづくりが消えた時にどういう形に移行するのか。毎年ごとのコレクションじゃなく、定番商品型のものづくり部分がアパレルも増えてくるだろうと思う。それは売れ残りを大量処分することを防ぐことにもつながるし、モノの普遍的な価値を育むことにもつながる。流行に左右されず、何年も使えるような良いものをつくるという流れにも当てはまる。
売り場が半減することで、毎回の品質検査なども新しい素材をオリジナル的に作ってという流れは少なくなるだろう。サンプルの時に色ごとに物性検査、また量産で色ごとに物性検査という、一つのサンプル時や量産時にそれぞれ1回2万円くらいは掛かる基本物性検査なども、省けるようなモノづくりになっていくのではないだろうか。すなわち新しい素材をつくるよりも、実績のある素材をベースに色で変化を付けて、乾湿摩擦堅牢度程度の検査で済ませるような形とか。