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リネンや麻を織る日々をつづっています。
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リネン日記
器用さ
2022年06月22日
テキスタイルマルシェの撤収作業なんかでも、私も頑張ってやってはいるけども尾原さんに手伝ってもらって。他のみなさんも本当に素早い。迷いなく直線的に何をするのか分かって荷造りされている。会社の経営者の皆さんなんだけども、みなさん器用で作業も現場の人以上に得意なんだと思う。結局、そういう準備や撤収作業なんかも会社の経営者の人たちがやっているので、それは将来性を考えると本当は良くないことなんだろうとは思うが、若い社員が作業するには負荷が大きすぎるだろう。イベントなども普通にこなせるのは経営者の前向きな姿勢と器用さがあるからなのだろう。

経営者の人であっても分からないことが多いけども、分からないときには自分で誰かに聞いたりして分かって、自分が正しく進めてゆく必要がある。一回一回が普通の業務を超えた経験値だったりでそういうのを毎回乗り越える力があるから会社を経営して成り立たせて行けるんだろうと思う。いわれて与えられた仕事をするとかじゃなくって、いわれなくても与えられなくてもものごと分かってやっていくみたいのが普通みたいな。問題あるのが普通だから問題を乗り越えて解決していくのが仕事みたいな。

林与が接する人というのは、経営者の方だったり、自分でブランドを立ち上げたり、ハンドメイドされたりが多く、それなりにものごとの全体を自分で分かって成り立たせておられる方が多く、普通の従業員だと考えられないような負荷でも普通にこなしておられたり、自分が持ち出して企画するが当り前だったりして、それがその方が作られる超えたものづくりやお客様を引き付けるような要素につながっているあたりがある。

最近は、林与も体調があまりすぐれずではあるけども、いろいろと前向きに自分ができるだけ動いておこうと思う。もう充分に動いて今は人生の延長ステージではあると思う、使い切って終わればよいと思う。テキスタイルマルシェのお客様から、滋賀県の別の機屋さんがもう高齢で仕事が難しくなられているというお話を聞いて、50過ぎると糸を筬に通すのも難しくなり細い麻糸を織ることが難しくなる。とくに黒い糸は切れ易く織りにくいし見えにくいで難度が5倍くらい上がる。

私がまだ目のほうは余裕があるので救われている。特に男性は50あたりで老眼で近いところが見えなくなってしまうケースが多いようである。伝統工芸士の勘平じいさんが70くらいのときに整経の筬に糸を通そうとしてくれたことがある。牛乳瓶の底のような眼鏡を掛けて、一生懸命にやってくれるのだけど通し間違いばかりで、でも、そうやって70歳すぎても私を助けようと作業してみてくれたのがうれしかった。勘平じいさんは、戦争にも行って捕虜になった経験もあり、運命的なものを受け入れるも経験されて、組織というものをよく理解されていていたと思う。無茶苦茶な話をされることもあって、隣のハルさんと結婚したのも、あまりにブスだったのでワシがもらってあげたみたいなことを言ってられ、本当なのか嘘なのかはどうかとして、お二人で仲良く生涯を送られた。

今、林与でおっているもののほとんどが本麻かリネン100%もの、織れるうちに経糸が麻のものをなるべく織っておこうと思う。キッチンクロスも在庫が非常に少なくなって色もない色が増えて再生産が必要になって来た。ハニカムもおりたくて糸は押さえて持っているけども、なかなか自分が織りたい織物でも順番にしか織れない。半年1年は先の話になるだろう、といっている間に2年とか3年はすぐに経つ。

一般的には50歳くらいで、糸を筬に通せなくなって経糸に、細い麻糸を織るのは難しくなる。経糸切れとかでも30秒以内、横糸ぎれとかでも15秒以内くらいで、処理できないと仕事のスピードとしては、4台5台の織機を動かすことは難しいだろう。それを普通に1日中動けてみたいなのが機場の現実で、そういうのって経験者でも難しいから、よほど気を持って仕事しないと難しい、コンビニやスーパーのレジの仕事のように、そとのペースに合わせて淡々と次々とこなして行ける人でないと、マイペースな人だと成り立たせるのが難しい仕事だろうなあとは思う。いわゆる体育会系のほうが向いているとは思うし、一日中立って動いての立ち仕事みたいなものも普通の人だとなかなか耐えられない世界だと思う。