2023年05月02日
弟に手伝ってもらっているけども、弟が織れるようになろうとしてくれているデニムの織機でシャトルが飛ぶトラブル。今までそのトラブルは1度も起こらなかったので、想定外のトラブルで、私自身がその問題の起こった現場に立ち会っていないので原因の推測から。
朝になるまでに、原因が筬が外れて筬は元に戻したのだけども、光感フィーラーの受光部分までシャトルを挟んだときに奥のほうに落ち込んでしまっていてそれが問題だったみたいで、それを前に押し戻したらシャトルの飛ぶ問題はなくなった。
何十年のベテランの人たちでも筬の一つを通すのが難しいのが織物の世界で、織物の世界で60歳70歳の人たちというのはみんな牛乳瓶の底のような眼鏡を掛けて仕事みたいなイメージがあって、ベテランが若い人たちよりも作業が早く上手にできるのかというと経験して慣れた仕事は進めていけるけども、手間の掛かる細かい作業や慣れていない仕事は若い人たちのほうが上手ということも多い。
朝から、ヘルプスタッフがオーバーロックミシンで巻きロックで、キッチンクロスを作る作業。初めてのオーバーロックミシンだけども、糸通しなども教えて覚えてもらって3時間ほどで何枚かのテストサンプルを作り上げる。私も1週間ほど前に始めてのテストして試作的に巻ロックやってみたけども同じように短時間で普通にその日からものづくり。
色や形だけでなく、ロックミシンの糸のチョイスやオーバーロックの耐性みたいなものが大事だったりもして、ガーゼ素材をかがった場合などには、洗ってパンクしないかなどのテストなども大事なこと。洗った後のサイズなども大事で、そのあたりが私の考えるものづくりの現実的ながら大事なところ、そこを欠いては、色や形は台無しで、逆に言えば、色や形はあとで好きに選んでもらえることであったりもする。
興味深かったのは、ガーゼ素材では巻ロックは荒め、高密度な織物では巻ロックはしっかり目に出来上がること。巻ロックのダイヤルの目の数値だけでなく実際に縫って作業をしてみると見えてくることもある。似たような型番のロックミシンを2台手に入れてみたけども、それぞれの縫いの粗さに違いが見えたりもして、型番によるミシンの縫い目のクオリティの差というものもあるのだなあと思った。数時間でも実際に作業してみると見えてくることは多く、頭の中で考えていても想定にもなかったこと。カーブ縫いなどは縫い目を細かくしてもやはり太めの糸のガーゼ素材では洗うとパンクしやすいというあたりは想定通りの結果。試作してくれたものを洗って使ってもらって変化などもみて、実用的にどれほど耐えうるのかというあたりを検証してもらう。
商品開発というのは机上で行われることが多くなり、実績のある生地でも濃色などは湿摩擦堅牢度が悪いという検査結果が出たりするのだけども、濃くしっかりとした真夏に来ても冷たさや清涼感を感じるスカッと染まった色というのはそれなりに大事だったりするだろうし、染料を変えるとまた別の問題が起こりがちになったり、色を薄くして湿摩擦堅牢度数値を通すのかというあたりとか、それとも素材の見た目の清涼感を大事にしてデメリット表示などで対応するのかとか対応方法にも販路の基準との兼ね合いでいろいろと流せるようにするのか流せないようにするのか。