2023年07月17日
たとえば中国では昔は60番手くらいまでの糸しか引けない綿花がほとんどだたのが、今では新疆綿といえば超長綿の代名詞。その背景としては中国が何十年の歴史を持ち、今では世界トップレベルになった遺伝子組み換えの技術が生きていてる。普通の話なのである。インドも同じく、BTコットン栽培のメッカ的な存在であったし、もう今では遺伝子組み換えでない種を手に入れることは難しくなって、努力目標的なものになっている。
オーガニック規定というのは、世界基準みたいなものは実際には存在せず、各国のオーガニック規定に沿った形で認可が下される。日本では、遺伝子組み換え種子を使わないと言われて謳われていても、それぞれの国で使うことが許可されていればオーガニックコットンと認定される。各国でのオーガニック認定が大事でそれが下りることで、認定機関がオーガニックであると認定しているようなところがあり、実際には各国ごとにばらばらな認定基準なのである。
たとえばCPKという肥料の3大要素に関してはインドでは土壌的に自然配合を超えない範囲では制限されていない、すなわち、たとえば日本でいうところの農協の合成肥料がインドではルール上規制されていないのである。また、種に関しても先ほど書いた通り、もう遺伝子組み換えでない種子を準備することは難しくなっているのが実情。国レベルで、何十年も遺伝子組み換えをやってしまっているともはや混入どころか、種すらも入手が難しいという話になる。それが遺伝子組み換えの怖さなのである。
今は、遺伝子組み換えの種を使っても、有機栽培3年で有機栽培された種ということで、オーガニックな種となるみたいだが、本質の遺伝子組み換えの問題は3年育てたところでそのままどころか、それが普通になると本当に遺伝子組み換え汚染が広がる結果につながり、遺伝子組み換え不使用を謳いながらも、ミイラ取りがミイラになるような。遺伝子組み換え不使用を謳いながらも、遺伝子組み換えまではチェックしていないのが実情で、努力目標的なだけなのである。
消費者としては、オーガニック幻想にとらわれずに現実を知ることが大事で、謳い通りのものを手に入れることがどんどんと難しくなっている現実で、これは熊本のあさりの問題とおなじようなところがあって、熊本のあさりの業者に聞くと、有明で国産のあさりを取るなんてもう無理だよとかが当り前の話、また海外からの輸入アサリの畜養にしても1年もやったら全部死んじゃうとか、現場のものは現実的には無理なことを分かっていたりする。そういうものが国産あさりとして、日本で30年も8割のシェアを占めて来た。値段は海外アサリの2倍で売れるので他のまともにやっている国産あさり業者を余計に苦しくしてしまうような結果。利益に目がくらむと偽装につながりやすくなるのでオーガニックも気を付けないといけない話なのである。
今の国際的なSDGsの流れは、利益主義的すぎて下手すれば新しいものに買い替えろみたいなところまである。従来続いてきた地道な世界というのが大事なのにそれを悪いことのようにまた金儲け主義の人がその場しのぎに仕切ろうとすると、従来以上の地球環境破壊を及ぼす。ヨーロッパでも一番環境意識の高いドイツのフォルクスワーゲン社が、クリーンディーゼル偽装をやって、有りもしない技術を謳って、世界シェアを奪いつつけて排ガスを垂れ流し続けた20年余りとか。消費者は地球環境に良いということで買い替えて結局排ガスを垂れ流して法律違反レベルの地球環境破壊させられていたということで、そこが一番消費者からすると騙された思いだろう。くしくもヨーロッパで一番環境意識が高いだろうドイツの企業がやってしまったというのも、地球環境を謳うものが偽装してしまうような、今の環境ビジネスが行き過ぎてしまっているところだろう。
オーガニックにしても、現実問題として、たとえば私がオーガニックリネンの糸を使ったと謳ったとして、普通のリネン糸を使っていても、それは消費者の人にはわからない話で、どんな国際認証機関においても検証すらもが難しい話なのである。結局は、ラベルが貼ってあろうが携わっている人のモラル次第なところによるだけの話ということに終始してしまう。
今、ハイブリッドカーが登場してしばらくあとにはリッター40km走るというのが謳いだったけども、それがリッター25kmとかに落ちてきている。それとは別の話だけど国内でも燃費偽装問題も明るみになってきた。25年前に乗ってたホンダの中古の軽自動車で、高速道路を使わない実走行で、リッター25kmは走っていたことを考えるとあんまり進歩していないのかもと思える。